内容説明
ふしぎなめざめにうながされて…、凍てつく土中から虫達が這い出すように、女ひとり、戦後をつよく生きる想いを綴る「四季採譜」。大阪のこいさん育ちの著者が生涯の地・京に移り住み、暮しの中から紡ぎ出す美しい言葉で古都の魅力を語り尽す「鳴滝日記」。古の道、ふるさとの道、露地の道を行き交う人の運命を哀切に描く「道」など四篇。“美の巡礼者”、岡部伊都子の豊かな感性と強靭な志を示す清々しい初期随筆集。
目次
四季採譜(春“紫”―わが血の深淵;夏“白”―拒否性の輝き ほか)
無限に生きる(遠の眠り;死支度 ほか)
鳴滝日記(緋の空間;白い緒 ほか)
道(鞍馬路;アルプスへの道 ほか)
著者等紹介
岡部伊都子[オカベイツコ]
1923.3.6~2008.4.29。随筆家。大阪生まれ。幼少期より病弱で、相愛高等女学校も中退。戦後、結婚、生家の破産、離婚を経て雑誌投稿から文筆の道に入る。1956年、掌篇集『おむすびの味』を公刊。以後、京都奈良の“観光バスの行かない…”埋もれた古寺を紹介。風景、仏像、平凡な暮しの道具に至るまで繊細な美意識でとらえた随筆を半世紀に亘って書き続ける。また若き日、沖縄に出征する許婚の背中を押した呵責から、沖縄、在日朝鮮人、ハンセン病等の社会問題にも積極的に発言、『二十七度線』、『沖縄の骨』等を著す。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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