出版社内容情報
【内容紹介】
第3巻には、「言志晩録」292条をおさめる。佐藤一斎が、67歳より78歳までのおよそ12年間に書き記した文章である。学問修養・倫理道徳から政治法律・風流韻事に至るまで、人間生活のあらゆる局面における身の処し方・心構えが説かれている。政治家も実業家も学者も若者も、それぞれの立場に応じて味読すべき金言の宝庫である。異色の訳注者の手になる現代語訳と解説は、溌刺自在。古典を現代に活き活きと甦えらせた。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
77
江戸後期の大儒学者•佐藤一斎が67歳から78歳までの間に書き記した金言集「言志晩録」と、学問への志の正しい立て方を述べた「入学説」を収めた本。儒教についてかなり深い部分に立ち入っており、ちょっと読んだだけでは分からない項目や、誰だかわからない儒学者の人物評、政治や風俗に対する批判や賛美など、前の二巻に比べるとちょっととっつきにくい話が増えていた。また、老いに関して「40代から引き潮のように寄せては引いていく…」という生々しい記述や、良い医者に頼れとか、さすがの佐藤一斎先生も寄る年波を感じていた様子。2014/07/09
かわうそ
31
「165 大抵、事の真の是非に干らざるは、彼れの好尚に任ずとも、亦何の妨げか有らん。乃ち暁暁として己れに憑りて、以て銖錙を角争するは、秪に局量の少なるを見るのみ。」 〔訳文〕大抵の事柄で、真の善悪に関係ない言葉相手のこのみに任せても、何の妨げがあろうか。すなわち、口やかましく、自分を拠り所にして、僅かなことを争うのは、ただにその人の度量の小さいことを現すだけのことである。」P194 自らの志に関わることでなければ相手に譲歩することも大切です。2022/10/14
金吾
21
○示唆に富んでいる言葉が多く面白いです。また書き下し文の韻律がいいために読みやすいです。実践はなかなか難しいと思えるものも多いですが、少しずつでも人生の参考にしていきたいと思いました。上にたつ人の心得や死生の部分は特に面白かったです。2022/01/25
耳目之学(不定期更新中)
8
佐藤一斎が67歳から78歳までの12年間に書き記した語録です。語録の部分も面白いですが、付録の入学説が非常に良いです。学問をする際に気をつけるべきポイントがコンパクトにまとめられています。橋本左内の『啓発録』と同じぐらい心に響きました。現在、四書の一つである『大学』の暗記に取り組んでいます。これが終わったら『入学説』と『啓発録』の暗記にも取り組もうと思います。言志四録も残すところ一冊となりました。じっくり読みこんでいきます。2011/07/13
Holy Boon
6
座右の書。 幕末の倒幕のエネルギーとなった思想である陽明学における江戸の代表的思想家の名著。 坂本龍馬・西郷隆盛・桂小五郎・勝海舟・吉田松陰などに多大な影響を与える。 順境にある時、逆境にある時、事を為そうと志す時、優しく、時には厳しく、魂を奮い立たせてくれる本。 この本で人生観変わりました。何十回読み返したか数え切れません。それでもまた紐解きたくなる作品。 日本人に生まれて良かったと再認識させてくれる本でもあります。 全4巻。