憎悪と愛の哲学

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憎悪と愛の哲学

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784044002800
  • NDC分類 361.04
  • Cコード C0036

出版社内容情報

愛する人を憎め。日本人には、憎悪が足りない――。社会と人間をめぐる講義

内容説明

イスラーム過激派テロから、原爆投下の裏面史まで。縦横無尽な論証で社会学の最重要概念を更新する、「神」「資本主義」「歴史」をめぐる思考の冒険。

目次

第1章 資本主義の神から無神論の神へ(「私はシャルリ(=ゾンビ・カトリック)」
資本主義の神
神の気まぐれ
もう一人の神の(非)存在)
第2章 憎悪としての愛(三発目の原爆;原爆の火花;さまざまな歴史概念;憎悪の業)

著者等紹介

大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年、長野県生まれ。社会学者、思想誌『THINKING「O」』(左右社)主宰。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。2007年に『ナショナリズムの由来』(講談社)で毎日出版文化賞、15年に『自由という牢獄 責任・公共性・資本主義』(岩波書店)で河合隼雄学芸賞を受賞したほか、多数の著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

27
講義録なので冗長ですが、論考の質が落ちているわけではありません。地の文章がシンドイ読者にはうってつけです。本書は逆転で出来ています。前半では無神論的な資本主義は、何かを信じるということで成り立っているという逆転があります。細かくは、パリのテロでは、宗教的基盤があるとされたイスラム原理主義が実は資本主義的で、共和国の理念からフランスのデモに参加した人達は実は無意識にカトリシズムに共鳴している。禁欲的なプロテスタンティズムから近代資本主義が生まれた。唯物論の『資本論』は神学的な比喩に満ちている。後半では、愛よ2018/10/16

しゅん

17
講義録ながらかなり濃い議論が展開される。「神/資本主義」編と「愛/憎悪」編の二部構成で、特に後半の冒頭の話、原爆投下において日本人は憎しみが足らず、アメリカ人は憎しみが過多だったという論は非常にクリティカルで面白い。元は加藤典洋のアイディアということだが、それをベンヤミンの歴史概念や北条泰時の「革命」にまでつなげた上でキリストを論じる上でのキータームとしていく手つきは素晴らしい。明記はされてないが、キリストこそが最も反キリスト教的存在だという結論。やはり、根本に矛盾を抱えるこの一神教は興味深い。2018/01/05

吟遊

14
NPO東京自由大学での講義をまとめたもの。あとがきによれば、もともと本としてまとめる予定はなかった。そのため、書き下ろしの一冊としてのまとまりに欠けるきらいはある。起承転結で言うと、「承」や「転」で終わってしまう感じ。あとは著者の路線を受け継ぎ、自分で考えるしかない。前半は、「神」の概念を考え、「資本主義」の乗り越えを図る。というのも、資本主義は無神論の仮面をかぶりつつ、神に当たるものを抱いていると言えるから、と。後半で憎悪と愛の弁証論が説かれる。こちらがメイン。 2017/11/09

Hiroki Nishizumi

6
なかなか興味深い。最終節は言いたいことは分かるが十分腹落ちしなかった。よくよく考えよう。十二番目のラクダ、三発目の原爆、北条泰時のエピソードなども面白かった。2019/12/12

trazom

4
この本のテーマは2つ。「資本主義の神から無神論の神へ」と「憎悪としての愛」。最初のテーマは、ヴェーバーの論考に関連して、神の超越性を最も純粋・厳密に受け取ったプロテスタンティズムと、最も蔑ろにした資本主義というシステムは、神という基準で見たら両極的であると指摘する。また、ヨブ記を例にとり、予定説は、無神論に接近する危うさと紙一重であるというのは成程と思う。「憎悪としての愛」において、大澤さんは、愛よりも憎悪の方が重要だとして、原爆投下に憎悪しない日本人の異常さを指摘する。大澤さんの論理は、いつも爽快だ。2017/12/11

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