内容説明
批判力を棄てたマスコミ、官僚の無策、新自由主義という弱者切り捨て社会…。戦後60年経てもいまだに思考力を持たず、国家の冷酷な無責任体制に盲従する脆弱な現代日本人。「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」―映画監督・伊丹万作が敗戦の翌年すでに日本人の病理を見抜き発表した論文をもとに、権力に斬り込む論客2人が戦前からいまだに変わらぬ日本人の精神構造を鋭く検証する。
目次
1 “国民的英雄”中坊公平が果たした役割
2 “タカ派”と“宗教”の癒着が腐食させる民主主義
3 戦前から戦後へと連綿と続く「無責任体制」
4 「自己」を溶かす日本人
5 伊丹万作「戦争責任者の問題」と六〇年後の日本
6 普通の顔した右翼の時代
7 読売・渡邉恒雄の深き罪
著者等紹介
佐高信[サタカマコト]
評論家。1945年山形県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、高校教師、経済誌編集長等を経て現職。歯に衣着せぬ鋭い評論には定評がある
魚住昭[ウオズミアキラ]
ジャーナリスト。1951年熊本県生まれ。一橋大学法学部卒業後、共同通信社の司法記者としてリクルート事件等の優れた取材で活躍後、フリーに。著書は講談社ノンフィクション賞受賞作『野中広務 差別と権力』等多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さきん
22
メディアや政府に対する不信感を持って批判するのはいいけれども。また平和が大事というのも痛いほどよくわかるけれども、絶対的平和主義が問題解決の機会を逃し、事を深刻化したのも歴史を見て明らか。また批判の仕方が人の生まれたちから語るというのはそうなのかもしれないがあくまでその人の言っている内容に批判を留めるべきではないかと感じた。2018/04/01
ののまる
6
政治家の劣化がすさまじい。二世・三世議員。2024/04/07
bittersweet symphony
1
1946年「映画春秋」誌に発表された伊丹万作の小文「戦争責任者の問題」は、戦前・戦中の戦争責任について、総懺悔あるいは総被害者・特定の人物への責任転嫁ではなく、誰が騙し騙されたとは別次元で騙されたことへの責任が各人にあり、その認識がなければ再び騙されて同じ過ちを犯すだろうという見解になっています。佐高信・魚住昭両氏はこの伊丹万作が言う考え方の欠如が現代にまで続いているという認識になるわけですね。2008/06/09
おたま
1
冒頭にある伊丹万作の言葉が平和を考えるうえでとても重要だと思います。2010/02/04
うりぼう
1
伊丹万作の発言が過激。2008/05/26