出版社内容情報
「図書」誌上での好評連載を中心に編む時評集。一生活者の視点から、ものを言い、日々の雑感を綴る。今というこの時代、日本というこの国に生きることへの本能的な危機意識が、生来の観察者を発言者に変える。二〇一四年から一六年まで、日本が「ルビコン」を渡った決定的時期の覚書として、特別な意味をもつ一冊である。
内容説明
「図書」誌上での好評連載を中心に編む時評集。一生活者の視点から、ものを言い、日々の雑感を綴る。今というこの時代、日本というこの国に生きることへの本能的な危機意識が、生来の観察者を発言者に変える。二〇一四年から一六年まで、日本がルビコンを渡った決定的時期の覚書として、特別な意味をもつ一冊。
目次
二〇一四年(日本人であること;ものを言うこと、行動すること ほか)
二〇一五年(夢から覚める力;震災二十年 私たちの変化は ほか)
二〇一六年(無能のともがら;勇ましい言葉の正体 ほか)
講演録(私たちはいま、どういう時代に生きているのだろうか;異化する沖縄)
著者等紹介
〓村薫[タカムラカオル]
作家。1953年大阪市生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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starbro
120
高村薫は、新作中心に読んでいる作家です。タイトルから著作もしくは作家に関するエッセイかなと思って読み始めましたが、内容は想定外の硬派な時評でした。著者の考えは、私の主張に近いので共感しました。将来的に櫻井よしこの対抗馬になったりして・・・2017/06/10
KAZOO
98
高村さんの時評集で、2014年から2016年までのものです。朝日文庫で読んだ続きの様なものです。これは岩波の広報誌の「図書」や京都新聞に掲載されたものと、講演録が収められています。立ち位置はいつも変わらない感じで政権批判が多いのですが、その時々の状況をよく調べられていて分析していると感じています。常に批判的な精神を持ち続けられている方だと思います。2023/09/02
竹園和明
32
世の矛盾を指摘する点において高村薫を凌ぐ作家はいない。その氏がここ3年の中で各紙(誌)に投稿したコラム集。震災関連、原発政策、安保関連法案などに対し、政府の矛盾や暴挙の数々を論理的に指摘しており“冷静なんだけど熱い”氏の本領発揮といったところ。その切れ味はさすがと言う他はない。「政治家がそれらしい言葉を垂れ流すジェスチャーに、大衆が慣れてしまった現代は本来の政治が存在しない時代。それは即ちこの国が危機に直面した時、事態に真に向き合う者の不在を意味する」。今の日本のおかしな点を、高村薫は的確にとらえている。2017/07/09
浅香山三郎
22
高村薫さんの時評シリーズの最新刊(2014~2016年)。相変わらず、高村さんの語り口は鋭く、重く、暗い。それは時評の対象となる事柄が、日本の将来にとつて良いことではないことばかりだからだが、巻を重ねる毎に「悲観的過ぎる」と感じることが少なくなつてきた。安易に絶望せず、「私たちはいま、どういう時代に生きているのか」といふ問ひをもち、それを言葉にし、かたちにすることで、発言し続けることの大事さを説く。高村薫さんの時評と、小林信彦さんの『週刊文春』のコラムが、目下、私にとつて確り読んでおきたい指針である。2017/05/07
reading
21
原発、沖縄問題が特に印象に残った。これらの問題については、国民一人一人が真剣に学び、責任を持つことが重要だと思う。それにしても、政府、政治家の不作為、無能さには怒りを通り越してあきれるばかりだ。2017/06/04