出版社内容情報
人里はなれた静かな川べで素朴な暮らしを楽しんでいるモグラやカワウソたち.わがままで好奇心旺盛なヒキガエル.小さな動物たちがくりひろげるほほえましい事件の数々を,詩情ゆたかに描いた田園ファンタジー.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
263
本書を楽しめたかといえば、正直なところその良さがよくわからなかった。彼我の文化差とも思うが、日本語版(石井桃子訳)も、岩波のハードカヴァーと新書サイズ版(本書)ともに着々と版を重ねているところをみると、日本の子供たち(大人も含めて)にも支持されている。私は子供の心を失くしてしまったのだろうか。了解できるのはイギリス人の川へのこよなき愛着と、川を通して眺める自然の美しさ。それは川であることが重要で、つまりソフィスティケイテッドされた自然なのだ。一方で、物語のプロットは、どう捉えていいものやら困惑するのだが。2015/07/06
遥かなる想い
229
1908年に出版されたイギリスの児童文学。 そう言えば 子供の頃に読んだ童話は 確かに動物が主人公で冒険する展開が多かった 気がする。モグラくんの冒険物語..登場する キャラも楽しく 多くのファンがいるのも わかる気がする。2016/06/25
ケイ
121
表紙からもうかがえる愛らしい動物たちと和やかな自然の絵。春のある日、陽気に誘われて土の中から飛び出したモグラくんはネズミくんと友達になる。どこかおかしな設定。彼らの大きさとか食べているものとか、習慣とか…。それぞれの動物らしさを持ちながらも、人間に置き換えて考えてもいいような彼らの生活は、ピーターラビットとは違う。でも、彼らが他の動物たちとも助け合って、喧嘩もしながら励まし合い暮らしていく様子に、とても心が和む。問題のヒキガエルくんも、なかなかどうして憎めないやつだ。大人の方にこそおすすめ。2015/11/14
Willie the Wildcat
67
ふっと訪れる心の隙間。先入観や欲の場合もあれば、夢や願いが齎すこともある。寄り添う仲間がその隙間を埋めるのも支援。時に温かく、時には厳しく。印象的なのが川ねずみの涙。非日常性や日々の束縛から解放。秋の夕焼けが似合う別れだ。加えて、森vs.川における階級・格差、そして(ヒキガエルの)車中毒に垣間見る物質主義への警鐘。現代社会にも繋がる社会問題。但し、常にそこには仲間!(人間が去っても)そこには自然。生きる力。一方「パン神」、読み取れない。(汗)蛇足だが、マカロニ・プディングはまだしも、ビールをおかん?!2015/08/04
かえで
59
モグラ、ネズミ、アナグマ、ヒキガエルら川辺の動物たちのお話。彼らは普通に人間と同じように暮らしています(人間もでてきます)。幼い頃に作者が実際にふれあい愛した動物たちへの愛がつまった作品。気の良いモグラ、真面目なネズミ、粗暴ながら根は優しいアナグマ、高慢で自惚れ屋のヒキガエル…とそれぞれのキャラが立っているのが良いです。ヒキガエルが実に嫌なやつ&トラブルメーカーなんですが、どんなことがあっても他の3匹は彼を見捨てない。非常に厚い友情物語でもあります。美しい川辺の風景も素晴らしく、大人が読んでも楽しめます。2017/10/08