出版社内容情報
東京裁判のさなか、国際検察局が陸軍機密費の実態解明に挑んだ。関係者への尋問を軸にした捜査は、権力中枢における錬金術の核心にどこまで迫れたのか。忘れられた尋問調書の解読を通じて、戦前戦後を貫く日本の闇に目を凝らす。
内容説明
東京裁判のさなか、国際検察局の一人の検察官が、陸軍の「シークレット・ファンド」=機密費をめぐる捜査に取り組んだ。政府や軍の元高官らを次々と召喚、尋問を重ねるうちに、日本の権力中枢における錬金術の核心に迫ったかに見えたが…。厚いベールに覆われた機密費の実態を、いかにして、どこまで明らかにできたのか?長年埋もれていた英文尋問調書を読み解き、特命捜査の顛末をたどりながら、戦前戦後を通じて息づく日本の“闇”の正体に目を凝らす歴史ノンフィクション。
目次
捜査の始動
連日の尋問
特命捜査の背景
見えてきた構図
直接対決
内閣の機密費調達法を追う
東条の秘密資金は上海から空輸されたか
捜査迷走の背景
田中義一の「陸軍機密費事件」
台湾総督府陸軍機密費〔ほか〕
著者等紹介
渡辺延志[ワタナベノブユキ]
ジャーナリスト。1955年、福島県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。朝日新聞社に勤めるかたわら、独自に歴史資料の発掘、解読に取り組み、著書に『虚妄の三国同盟―発掘・日米開戦前夜外交秘史』(岩波書店、2013年)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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