岩波現代全書
満蒙開拓団―虚妄の「日満一体」

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000292009
  • NDC分類 334.51
  • Cコード C0321

出版社内容情報

満洲事変を契機として計画された日本各地からの農業移民は、日中戦争の本格化に伴い、陸軍主導の強力な国策となり、未成年の少年までもが満蒙開拓義勇軍として送り込まれた。開拓先で中国人農民の反発を受けながらの厳しい生活の果てに、敗戦がもたらした今なお終わってはいない悲劇。移民の計画から終局までの全歴史をたどる。

内容説明

満洲事変を契機として計画された日本各地からの農業移民は、日中戦争の本格化にともない、関東軍と陸軍主導の強力な国策となり、未成年の青年までもが満蒙開拓青少年義勇軍として送り込まれた。開拓先で現地民の反発を受けながらの厳しい生活の果てに待っていたのは、敗戦で難民となった悲惨な体験と、住む場所と農地を失い再び開拓民となる悲劇であった。そして満洲開拓民の残留孤児をめぐる、今なお清算されない国策の失敗のツケ。移民の計画から終局、そして戦後史までの全歴史をたどる。

目次

第1章 満洲移民計画の浮上
第2章 迷走する試験移民
第3章 百万戸移住計画と本格移民の実施
第4章 経済更生運動と分村計画の結合
第5章 戦局の悪化と破綻する国策
第6章 開拓団の壊滅と開拓民の戦後
おわりに―国策の責任とは

著者等紹介

加藤聖文[カトウキヨフミ]
1966年生。早稲田大学社会科学部卒業後、民間企業に勤め、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、人間文化研究機構国文学研究資料館准教授。日本近現代史・東アジア国際関係史・アーカイブズ(歴史記録)学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

31
80年代に盛んに報道された中国残留孤児、彼らは中国で暮らしていましたが日本人です。なぜ彼らが中国にいたのか。当時は事象を報道するのみで、なぜ戦後随分遅れて発見されたのか十分には伝えられていません。食糧難とソ連の防衛ラインを解決する満洲移民計画は合理的にみえますが、机上の空論に過ぎませんでした。官僚的な実行、解決策の部分最適化、責任の不在、現在と変わらない日本的組織の犠牲となった敗戦時の引き揚げにおける死者、新たな開拓地で起こった成田闘争、ドミニカ移民計画など敗戦では変わらなかった日本の姿を論じています。2021/02/15

更紗蝦

24
満蒙開拓政策という “国策” を、政策者側の動機や判断、当時の国際的な政治状況や民族問題、満鉄や関東軍の事情…など、様々な角度からアプローチして構造的な問題を分析し、満蒙開拓団の「通史」、ひいては政策の「総括」を目指した本です。引揚者の証言や、地域史の中に残されている記録も大事なのはもちろんですが、それだけだと「政策者側が意図したこととその結果のギャップ」「ソ連側と開拓民側の“入植”の認識のギャップ」「軍人と官僚の求めているもののギャップ」などが見えてこないということが分かりました。2018/10/10

Mealla0v0

3
本書は、社会活動家の「善意」で始まった満州移民が国策化することでその硬直性に囚われ、終いには悲劇的な結末を迎えたことを指摘する。貧しい農村の救済のため、満洲を実質的に支配するために、対ソ防衛のために、満洲への移民が画策された。政策の主導権は拓務省や満鉄を関東軍に一元化していくが、現実に即したものではなかった。初めは武装移民、次いで農業移民と人口を増やしていくものの、次第に強制送出となる。移住した満洲では戦争に伴い成年男子が根こそぎ召集され労働力が枯渇。そこへソ連進軍と現地民の反乱、満洲移民は難民化した。2018/02/19

onepei

2
政策全体を俯瞰できる。2017/05/17

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