岩波人文書セレクション
思想の落し穴

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  • サイズ B6判/ページ数 351p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000285018
  • NDC分類 304
  • Cコード C0310

内容説明

戦争、占領、高度成長―昭和精神史の特長を「たる詰め」された思想という凝縮された表現で捉え、現代日本の状況を批判的に考察。自分からは見えない分部の気配を感じ、自らが誤りを犯してしまうかもしれない可能性を認識すること、あるいは犯してしまった「過失」から学ぶことの思想的意味をさまざまな角度から論じる。老いや死をも射程に入れつつ、日常生活の思想のあり方を問う洞察的エッセイ。

目次

1 昭和精神史(昭和精神史;『昭和萬葉集』を読んで)
2 生き方としての政治(亡命について;戦中思想再考―竹内好を手がかりとして ほか)
3 日常生活の思想(生き方としての老い;「いじわるばあさん」によせて)
4 日本文化へのまなざし(タゴールの日本;ハクスリーの日本文化)
5 折りにふれて(テレビは私を映す;待たれる日本浪人史 ほか)

著者等紹介

鶴見俊輔[ツルミシュンスケ]
1922年生まれ。哲学者。ハーヴァード大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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KAZOO

10
この中の論文ではやはり最初の昭和精神史が一番面白い感じがします。三つのたるというものに思想を分けて分析しています。これを読んでいると丸山真男さんの日本の思想を思い起こしてしまいました。後半は随筆のような感じのものが多く読みやすいと感じました。2014/01/24

壱萬弐仟縁

10
風樹文庫。80年代のご論稿を集められている。たる(樽)3つ。戦争。占領。そして、高度成長。もしも第4のたるがあれば、線量(放射能)かも。たるが壊れる(32頁)。それは、3・11原発事故が象徴的。鶴見氏は、同時代の戦争下で生きた自分史的な記述もしているようにも思える。高度成長を経て、80年代に評者は10代を生きていた。この80年代の活力ある時代に、冷静に人や時代を捉えていたことは今でも貴重な物の見方を与えてくれているように思える。「民衆は道ですれちがう時にも平静であり、多弁でない」(210頁)。平静に見る。2013/11/19

あきこ

1
相変わらず難しかった。昭和50年頃からの文章を集めたものなのだが、作者の言う世間の流れに流されない自分の考える基盤を持つということの大切さは、その頃よりも今のほうがより重要になっている。知識層と言われている人々の世の中に迎合する姿への批判は、私の一番好きなところだ。世の中の出来事をまっすぐに見て生きたい。そんな自分の気持ちのために私はいつも鶴見さんの本を読んでいる。2012/02/06

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