混迷するシリア―歴史と政治構造から読み解く

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  • サイズ B6判/ページ数 142p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000229234
  • NDC分類 312.282
  • Cコード C0031

出版社内容情報

2011年3月,「アラブの春」がシリアに波及し,人々は「民主化」を求めて立ち上がった.しかし,諸外国の思惑も絡み,今日のシリア情勢はその枠組みだけでは捉えられなくなっている.「独裁体制」アサド政権はなぜ存続し,「民主化」運動はなぜ頓挫しつつあるのか.「内戦化」するシリアの現状を,現代史と政治構造から読み解く.

内容説明

2011年3月、「アラブの春」がシリアに波及し、人々は「民主化」を求めて立ち上がった。しかし、諸外国の思惑も絡み、今日のシリア情勢は「民主化」論だけでは捉えられなくなっている。「独裁体制」アサド政権はなぜしぶとく生き延び、「民主化」運動はなぜ挫折しつつあるのか。シリア混迷の実態を、現代史と政治構造から読み解く。

目次

第1章 バッシャール・アサド政権は「独裁体制」か?
第2章 東アラブ地域の覇者
第3章 反体制勢力の「モザイク」
第4章 「アラブの春」の波及
第5章 「革命」の変容
終章 弾圧と「革命」に疎外される市民

著者等紹介

青山弘之[アオヤマヒロユキ]
1968年生まれ。東京外国語大学総合国際学研究院国際社会部門准教授。専攻は、現代アラブ政治、思想、歴史。東京外国語大学アラビア語学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。パリ大学付属在ダマスカス・フランス・アラブ研究所(現フランス中東研究所(IFPO))研究アラビア語修得課程修了。同研究所共同研究員、アジア経済研究所地域研究センター中東研究グループ研究員等を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

14
アラブの春。独裁、権威主義の内実が問われている。権力の二重構造(図5、24頁)。大統領の下、名目的権力装置と、真の権力装置と二分され、その下に社会集団が形成されているような図式である。前者は懐柔、後者は監視・抑圧とある。2004年、カーミシュリーの春では、暴徒へ無差別発砲で争乱(63頁)。ダマスカスは、世界史で出てくるが、いざこざの舞台でもある。中東理解はなかなか私には進まない。だが、和平、平和は共通の関心事だから、これからも注目していく必要がある。2013/11/22

coolflat

9
著者曰く、シリアには、対イスラエル強行路線を敷くレバノンやパレスチナのレジスタンス組織の「暴走」を抑止する役割がある。なぜならシリアは、イスラエルに軍事的に対峙しえるだけの国防力を持たないため、全面戦争となれば、敗北は必死となるからだ。シリアの目的は、対イスラエル強硬路線における決定的勝利ではなく、闘争の継続そのものであり、つまりはアラブ地域の地政学的再編をもたらすような混乱を抑止するのが目的ということである。しかし皮肉なことに、そのことがイスラエルの存続に寄与している。2015/11/25

スズツキ

7
これは良いですよ。今までは前提条件とされてきたシリアはそもそも独裁なのか、そうだとしたら何が問題なのか、といったことを背景やシステム面から見つめている。統治方式やアラウィー派の台頭などかなり強大な力をアサド政権が固辞していることは事実だが「社会的亀裂を超克しようとする志向」のもとに覆われていることが指摘されている。2015/12/06

うえ

5
「B・アサド政権成立以前のシリアにおいて、反体制勢力は長らく低迷していた…最大の理由は、H・アサド前大統領による容赦ない暴力とその絶対的な指導力を前に、「彼の存命中は反体制運動を「モラトリアム」するという暗黙の合意が、すべての反体制勢力の間でなされてしまった」からだった。しかし…H・アサド前大統領の死は、活動を「モラトリアム」してきた反体制勢力にとって転機となった…2000年七月にB・アサド政権が発足してから11年三月にアラブの春が普及するまでの約11年間のなかで、反体制運動は三度高揚した」2015/06/25

金吾

3
アサド政権のバックヤードやシリアの役割、アラブの春の影響等が書かれています。よく知らない国の話で、本自体は面白いとは言いがたいですが新たな知識に触れるという意味で参考になりました。特にイスラエルに対するレバノン、パレスチナのレジスタンス組織の暴走を抑止する役割というのは私にとって斬新でした。2020/01/05

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