内容説明
植民地主義、戦争、環境破壊―。20世紀の惨禍をもたらした「ヒト中心主義」を超えるため、人類学にできることとは何か?“エイプ会”の構想を受け継ぎ、自然史の視点から新しい総合人間学=「ヒト学」をつくりだすべく、現代最高の人類学的知性が結集して語り合った画期的な討論の記録。
目次
1部 総合の「学」をめざして―新エイプ会の提唱(メタサイエンスとしての人類学;エイプ会の背景;分化と総合のダイナミズム ほか)
2部 四者討論 ヒトの全体像を求めて(現代世界における人類学;自然の一部としてのヒト―種間倫理の可能性を探る;現代以後のヒト学はどうあるべきか)
新しい始まりへ向けて(ヒト学への道;生物人類学者の義務;総合の学としての先史人類学と文化人類学 ほか)
著者等紹介
川田順造[カワダジュンゾウ]
1934年東京都生まれ。1958年東京大学教養学科(文化人類学)卒業。1971年パリ第五大学民族学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語研究文化研究所教授、広島市立大学国際学部教授をへて、現在神奈川大学日本常民文化研究所客員研究員。文化人類学。著書に『曠野から―アフリカで考える』(中央公論新社、第22回日本エッセイスト・クラブ賞)『無文字社会の歴史』(岩波書店、日本民族学振興会・第8回渋沢敬三賞)『サバンナの音の世界』(白水社、昭和59年度文化庁芸術祭レコード部門優秀賞)『聲』(筑摩書房、第26回歴程賞)『口頭伝承論』(平凡社、第46回毎日出版文化賞)等多数。1991年、フランス学士院よりフランス語圏大勲章、1994年にフランス政府より文化功労章受章。2001年には紫綬褒章、2002年小泉文夫音楽賞(第13回)を受ける。日本民族学会、日本口承文芸学会をはじめ国内外の多数の学会活動に参加、要職を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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