共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794211279
  • NDC分類 141.26
  • Cコード C0011

出版社内容情報

音が見える、味に触れる――。五感を入り混って感じる共感覚をもつ人達の脳の謎に神経科学者が迫る。

内容説明

ものを食べると、指先に形を感じる。音を聴くと、色が見える―。一〇万人に一人という、この共感覚をもつ人たちは、まったく正常に暮らしており、本人が告白しない限り共感覚者かどうか見分ける方法はない。それどころか、共感覚者は特異な記憶能力を発揮することさえある。また、カンディンスキーやナボコフなど、共感覚のある芸術家も多く、その作品に影響をおよぼしているという。共感覚者の脳のなかでは、いったい何が起きているのだろうか。本書は、共感覚者の脳を研究しはじめた神経科学者が、やがて脳科学最大の謎である「意識」の正体へと迫っていく、たぐいまれな探究の書である。

目次

第1部 ある医学ミステリー(チキンのとがりが足りない―一九八〇年二月十日;裏がえしの世界;神経科医ができあがるまで―一九五七年、地下室で;正しい脳科学入門;「科学的とは思えないな」―一九七七年と一九七八年の冬 ほか)
第2部 情動の重要性についてのエッセイ(人間原理;ランチサービスと想像力;意識は情動の一種;人工知能の限界;さまざまな知 ほか)

著者等紹介

シトーウィック,リチャード・E.[シトーウィック,リチャードE.][Cytowic,Richard E.]
米国ニュージャージー州生まれ。医学博士・神経科医師。ロンドン大学付属国立神経科病院で眼科学、神経科学を修め、ジョージ・ワシントン大学神経科の研修医長を経て開業。ワシントンDC在住。共感覚研究の第一人者として知られ、その研究業績が新聞・雑誌で全米に報道されるなど、ひろく一般の興味を引いている。共感覚研究や神経科学の教科書・専門書の著作もある

山下篤子[ヤマシタアツコ]
北海道大学歯学部卒業。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zirou1984

40
原著の出版は93年、扱われている事例は80年初頭ということで進展の著しい脳科学という分野においてその内容がいささか古めかしいのは否めない。とはいえ、共感覚というものが常識として認知されてない頃の調査過程は興味深く、冗長ながらも読み易い文章もあってこの分野の導入書としては最適なものになっている。著者は共感覚を片頭痛と似たようなものだとし、共感覚自身は万人に起こるプロセスであり、それが意識上にまで登っている人が共感覚者として存在していると考えているが、これが現代においてどこまで証明されているのかは気になる所。2015/04/22

1039kuri

22
難しくて理解が追いつかない箇所(脳の構造とか、試験の設定とか…)があったけれど、興味がある内容なのでするっと読めてしまった。どのくらい頭に残ったかは別として、もやもやと知りたいと感じていた「共感覚」というものを少し深く知ることができたと思う。そして、著者の医師としての姿勢に心を打たれた。2015/01/19

Roko

5
脳に関する本を読んでいると、共感覚という言葉によくぶつかります。優れた記憶力を持つ人のに関する文章をの中に、この感覚に関する記述は本当に多いのです。共感覚というものが世間に認められるようになったのは、1980年代以降のことです。この感覚を生まれつき持っている人は、それが自分だけの特殊なものだとは気付いていないことが多いのです。この感覚を持っていない人でも、複数の感覚を結びつけて記憶力を強化しようとする試みも最近増えてきました。共感覚についての興味は当分続きそうです。2008/03/03

tuppo

5
色の恒常性は異なる刺激が同じに見えると言う錯覚である。問題は日中の光が決して同じではないことだ。日光の中の優勢なスペクトル光は太陽が空を移動するに従って変動する。従って色も変動する。散乱反射湿気や埃による屈折なども日光の色を時事刻々と変える。このような絶え間ない変化にも関わらず白い紙はいつも白く見えりんごは赤くバナナは黄色に見える。人の顔色や衣服の色も一定して見える。照度や明度や波長の分布が大幅に変動する状況のもとで物体が一定した外見を呈する2017/07/09

柳瀬敬二

4
書名からは予想できないが、この本のジャンルは医学ミステリーである。ノンフィクションの。共感覚者とは、ある刺激に対して通常とは異なる別の感覚をも生じさせる人々のことであるが、この本のトピックは共感覚にとどまらない。現代人は機械が示す世界を盲目的に信じるようになっているが、著者は情動、主観的世界の復権を、理性と情動、機械と自然という二元論ではなく、二つを調和させて生きることを訴える。ジョゼフ・キャンベルやフォースターという意外な名前が散見され、また発見した本人がこの本を書いている事実にも著者の多才さが伺える。2015/11/14

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