内容説明
「グーグル化」でヒトはバカになる。グーグルで知らないことを検索し、ツイッターで日常をつぶやき、iPadで本を買って読む。さまざまなインターネットメディアを当たり前のように使う日常のなかで、実は私たちの脳は少しずつ変化しているのだ。『クラウド化する世界』の著者がメディア論から神経科学までを使って暴きだす、まだ誰も知らない驚きの真実。
目次
プロローグ―番犬と泥棒
HALとわたし
生命の水路
精神の道具
深まるページ
最も一般的な性質を持つメディア
本そのもののイメージ
ジャグラーの脳
グーグルという教会
サーチ、メモリー〔ほか〕
著者等紹介
カー,ニコラス・G.[カー,ニコラスG.][Carr,Nicholas G.]
著述家。『ガーディアン』紙などでコラムを連載するほか、多くの有力紙誌に論考を発表。テクノロジーを中心とした社会的、文化的、経済的問題を論じる。『エンサイクロペディア・ブリタニカ』の編集諮問委員会、ならびに世界経済フォーラムのクラウド・コンピューティング・プロジェクト運営委員会のメンバーである
篠儀直子[シノギナオコ]
名古屋大学大学院(西洋史学)・東京大学大学院(表象文化論)を満期退学後、東京大学などで非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カザリ
40
ひと昔前の本ですが、そのせいか、内容が【あるある】に覆い尽くされている意味でわかりやすい。とにかくネットの機能それ自体が、深く思考する人間の生態的な脳に与える悪影響を指摘している。たぶん、知識や情報を知恵として自分なりに消化できなくなる要素が常時接続オンラインバカということになるのだろう。恐ろしいし、こうした状況は人々を支配するやり方と簡単に結びついてしまうのだろうな。文科省が子供たちにノーメディアチャレンジという努力目標を設定しているけれど、まさに努力目標でしかなく、人はネットの魅力には抗えない2016/05/21
Miyoshi Hirotaka
32
本というテクノロジーによってわれわれの脳は変化した。当初音読が主流だったが、表記法が整備されて黙読になり、口述筆記から自分で言葉を書くようになったことで、自力で連想し、推論や類推を行い、自分独自の思考を育てられるようになった。人は道具を作るが、その後道具は人を作る。印刷機の登場から五世紀後に登場したインターネットは、新たな情報環境として、われわれの脳を変えつつある。テクノロジーはわれわれの力を増幅する一方で、弱めてもいる。そのバランスを保ち、単一の思考に収束しないようにする工夫と努力が大事だ。2012/07/09
ミライ
30
本のタイトルのまんまの内容。インターネットメディアが日常に侵食している現在、我々の頭の中はどう変化しているか論じた作品。「インターネットをはじめてからなんとなく注意力散漫になる状況」がうまく文章化されている。そういえばネットを始めてから本も集中して読めなくなったなーと改めて思う、これからIOT時代に入りさらに脳内も変化していくんだろうな。。。思っていたよりも文章量多く300ページ超あって読むのに時間がかかったが非常に面白かった。著者の他の作品も、タイトル見るだけで面白そうなので、読んでみようと思う。2018/02/20
デビっちん
27
再読。簡単に情報を得ることができるネットやスマフォを使い続けることで、それ以前とは違う脳の活動領域が活性化しているようです。ネットから情報を得るプロセスの中で、集中力が低下し、深い思考ができなくなっていることを、脳科学の切り口を中心に解説してくれていました。ただ、著者自身も述べていましたが、今さらネットのない生活は考えられません。そういうことを頭の片隅に置いて便利なネットを使うことが大切なんだと感じました。ネットでの情報収集が当たり前になった今、読書するだけで逆張りできているのだなと思います。2017/05/03
みんと
26
ここ数年で、さらにインターネットはめまぐるしい進歩を見せ、私たちもネット無しでの生活は考えられなくなっている。 SNSの普及、クラウド化、デスクトップに所狭しと並ぶがジェット、1日数回にも及ぶメールチェック、ブログへの投稿。 実際、フリーランスライターである著者も、ネット中毒をやめることはできない。 やめるために努力した時期は、相当辛かったそうである。便利に使うはずのものに振り回されたのでは意味がない。 デジタル化された日常との上手い付き合い方をしっかりと考える必要がある。2011/07/20