内容説明
対処するための技術の基礎知識から、社会環境の問題、騒音問題をトラブルに変える人間心理まで、数多くの騒音トラブルの相談にのってきた著者による悲痛な叫びに応える総合解説書。
目次
第1章 騒音トラブル学概論(騒音トラブル学とは;騒音トラブル学から見たピアノ殺人事件;騒音トラブルの概況)
第2章 騒音トラブルの音響工学(音の基礎物理と聴覚;騒音の測定・分析と表示;壁の遮音性能;床衝撃音性能 ほか)
第3章 騒音トラブルの心理学(騒音はなぜうるさいか;騒音事件発生の心理メカニズム;騒音苦情反応と騒音事件;騒音の審理、生理的影響;騒音と煩音;被害者意識と勝ち負け意識行動;騒音苦情の東西比較論)
第4章 騒音トラブルの社会学(近隣騒音苦情の現状と分析;近隣騒音訴訟の現状と分析;近隣騒音事件の現状と分析;騒音の規制・基準と関連法)
第5章 騒音トラブルの歴史学(日本での騒音意識の歴史;日本の騒音問題の歴史;建築における騒音問題の歴史)
第6章 騒音トラブルの解決学(解決のための人間関係論;解決のための社会制度論;解決のための社会論)
著者等紹介
橋本典久[ハシモトノリヒサ]
八戸工業大学・大学院教授・工学博士・騒音ジャーナリスト。一級建築士、環境計量士の資格も有す。専門は音環境工学、特に騒音トラブル。建築音響、騒音・振動などの論文多数。日本音響学会技術開発賞、日本建築学会賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
23
計量法により環境計量士という国家資格をもつ人に調べてもらいたいな(32頁)。病気に罹患するのは理由があるので。2007年の朝4時台に来ていたM社はもう来てはいないが、遡って謝罪を要求することは可能か? 犬の鳴き声は、吠え声と高啼きが最もうるさい(83頁)。事件に発展する場合、恨みを口々に犯人からはきかれる(106頁)。近隣トラブルの本質は、当事者(加害者と被害者)双方が被害感を持つという矛盾を抱えた争い(137頁)。 孤独感や不安感を払拭できる社会。つながりを重視した社会(148頁)。 2014/07/22
せいや
2
騒音に寛容であった昔に比べて、現在社会は騒音トラブルにあふれている。共同住宅の増加、核家族化、近所付き合いの減少など社会の変容とともに騒音トラブルは増加。建物の遮音性等だけにそもそもの起因があるのではない。筆者は近隣騒音の問題の根底は「煩音問題」だと看破。これらは社会全体で対策に取り組む必要性を力説。米国で普及しているNJC(近隣司法センター)の日本版の創設が待たれる。迷惑になる騒音はなるべく出さない、多少の騒音はお互い様と考える「節度と寛容の社会」が理想。2023/01/26