内容説明
ｃｈａｎｇｅ．ｏｒｇ「保育士給与増額署名」で、２８０００人の賛同！元保育園長・大川えみるが「保育業界の闇」を問う。人手不足の保育施設で、何が行われているのか？園長や保育士の事件は、どのようにして起こるのか？いつも笑顔の保育士たち、その裏側で…。
目次
第１章 保育施設の事故・事件は構造的な問題―マスコミも取り上げる保育事故・事件の背景とは
第２章 増える保育施設でのトラブル―背景に見える保育の現実
第３章 たいへんすぎる保育労働―保育士不足の原因は？
第４章 運営法人と保育制度―家族経営による不祥事、行政とのなれあい
第５章 保育者の人間模様（１）―マイルドヤンキーとゆとり世代
第６章 保育者の人間模様（２）―問題をかかえる保育者
第７章 養成校で起こっていること―保育の未来がここにあるとしたら
第８章 日本の保育の近未来―国産の保育はぜいたく品に？
おわりに―理想の保育を求めて
著者等紹介
大川えみる［オオカワエミル］
教育学修士。西日本の民間認可保育園園長、保育者養成短大の講師を歴任。大学の非常勤講師、社会人講座講師、ゲストスピーカーとして、保育関連課題を幅広く扱う（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
41
園長や養成校講師等を歴任した著者が、実際事例に基づき「この国の保育がどこに向かうのか」を考察した本。著者は「保育者が、自分の子どもを預けたいと思える園かどうか」を保育施設選びの指標とするも「実際にどの程度、実在するかを考えると、暗澹たる気分に」と書く。(国家資格を得て働いているのに）「手取り月収が15万円以下。サービス残業が当たり前。持ち帰り仕事も多く、トイレ休憩も碌にできないブラック化した労働環境を告発。「一人ひとりの子どもを大切にすることと、一人ひとりの保育者を大切にすることは繋がる」と。強く同感。⇒2019/10/27
katoyann
27
「保育者の過重な労働負担、低賃金、それに関連して起こる保育事故」（4頁）をブラック保育と規定し、実態を伝えた本。ルポとエッセイの間。保育士の平均年収（平成26年）は316万円だが、民間認可保育園の手取り給与は18万から19万とされている。保育業界も非正規化が進み、非正規の保育士の場合は手取りが12万円程になる。「民間の多様な主体に保育事業の門戸を開く」という新制度のもと、保育園と幼稚園の民営化が進み、離職率も高くなる。5年の間に半数が離職するため、質も劣化していく。本当に日本は沈没していくと感じた。2022/07/15
ゆう。
27
保育がブラック化しているという場合の「ブラック」の定義は何か。職場環境は悪化し、低賃金で非正規化が進んでいる。そういう意味ではブラック化しているのは事実である。しかし、著者は養成校の学生の質や保育者同士の人間関係、愛着障害を持つ者が保育者になっている（これを断定的に論じているところにも疑問がある）ことなどをすべて「ブラック化」で説明しようとしているところには、正直違和感を感じた。2016/10/12
コーヒー牛乳
10
怖いのは「ブラック化する」ではなく、すでに「ブラック化した」状態になっていると感じられるところ。幼児期は社会生活を送るための土台となる経験を積む時期。保育所は託児所でも訓練所でもない。きちんと子どもを受容する保育者によって子どもが健やかに育てられなければ、身につけるべきことを身につけられず、学ぶべきことを学べず、社会で生活していくことが難しくなってしまう。健全な幼児期なしに健全な大人になるのは相当困難でしょう。幼児期の子供の育ちをもっともっと大切にしないといけない。2023/09/26
てくてく
8
クラウドファンディングで応援したリターンに受け取った著書。保育園の管理運営の問題、人材の問題などが取り上げられていて、昨今注目を集めている保育園問題の解決は容易ではないことを再認識した。特に、保育士養成機関の勤務歴がある著者ならではというべきか、どういう学生が保育士養成機関に進学してくるのか、という事例紹介が興味深かった。2016/06/21
