出版社内容情報
仏教は二千年以上かけて多様に変化した複雑な宗教である。「仏」と「法」という二つの極から仏教をとらえなおすダイナミックな論考。
内容説明
インドで誕生した仏教は、二千年以上の年月をかけ、アジアの広範な地域に伝播し、各地の文化に大きな影響を与えつつ、自らも多様に変化した複雑な宗教である。神によるのではなく、歴史上の一人の人間ゴータマ・ブッダが発見した真理に端を発した仏教は、さまざまなブッダを輩出し、それぞれの仏教が独自性をもちながら多彩な変容を生み出し展開してきた。仏教の歴史をブッダたち「仏」と、それに基づく「教え」という二つの極をもつ運動としてとらえるダイナミックな論考。
目次
第１章 「ブッダ」とは（ブッダ観；仏身論 ほか）
第２章 ゴータマ・ブッダと原始仏教（原始仏教のブッダ；初期経典とは ほか）
第３章 展開する仏教（仏教はどのように伝播したか；仏教は何を信仰するか ほか）
第４章 悟りと教え（二つの要素；悟り ほか）
終章 日本仏教の今（日本仏教の置かれた立場；日本仏教の問題点）
著者等紹介
並川孝儀［ナミカワタカヨシ］
１９４７年京都府生まれ。佛教大学大学院文学研究科博士課程満期退学。インドのジャワハルラル・ネルー大学客員研究員、同客員教授を経て佛教大学仏教学部教授。博士（文学）。専門はインド仏教、とくに原始仏教、部派仏教（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
10
仏教学者の著作のほうが今のメンタル的にただ「あなたはあなたでいいんだよ」的な世俗的解説本よりも落ち着く。客観的な経典の峻別、語彙の分析により、各時代・地域の状況に合わせて伝わり発展したブッダの真理と教えの普遍性と特殊性を認めつつ、原始仏教と大乗仏教の連続性と相違を解説する内容。2018/02/15
うえ
8
「仏教は、常に伝播していく国々にった以前からの宗教と融合していく…融合した世界が構築されるや否や、そこには新たにして独自な仏教が花開くことになるのである。インド仏教とか中国仏教、あるいは日本仏教、チベット仏教という呼称があるのは、それまでの仏教とは異なった新しい仏教がその地域で開花したことを物語っている。このうな言い方はキリスト教やイスラームにはみられず、仏教の歴史の特色でもある」 仏教の二面性は「仏教」という名称の解釈からも読み取れ、ブッダになる教え、とブッダの教えという二通りに語義解釈されるという。2022/04/24
もくもく
6
あえて灌仏会（花祭り）の四月八日にUPです。著者は、原始仏教の誕生を、万人が直面する人生の苦しみからの解脱を求めて悩み続けてきた沢山のブッダ（悟りを開いた人）たちに求め、その代表的な一人としての釈迦（ゴータマ・シッダッタ）がいるとしています。仏教がブッダ（たち）の作り上げた「悟りを得るための教え」についての学びと、「ブッダという超越者」への信仰によって宗教として形作られたとの解説と、ブッダを特別な存在とする過去仏・未来仏の宗教思想などの紹介が、「哲学」が「宗教」に変貌するための課程として興味深いです。2019/04/08
kota
3
ゴータマ・ブッダは仏教の絶対的存在ではなかった。キリスト教やイスラム教は、絶対的存在としての神をもち、神によって人間の苦悩が解放される。仏教は、人間自らが真理を悟ることによって苦悩を解放する。最初に真理を悟り、悟りの境地を説き、その境地への修行を教え示したのがゴータマ・ブッダと考えられている。ゴータマ・ブッダに追従し真理を体得した偉大な仏教者たちをブッダという。そしてブッダの教えを信じ、ブッダの道を歩んだ人々の総体が仏教なのである。基本的なことを改めて確認することができた。2019/10/15
hitbari
3
ちょっと難しいかな。一般向けではないね。2018/07/01
