内容説明
日本の政財界に暴力とカネで君臨した右翼・児玉誉士夫。戦中、中国で“児玉機関”を設立し莫大な資産を形成。戦後はそのカネで鳩山一郎をバックアップ、保守政党に絶大な影響力をもつ。左翼に対抗すべく全国のヤクザの糾合をはかる一方、フィクサーとしても暗躍。その最たるものが「ロッキード事件」である。「事件の陰に児玉あり」と語られた戦後最大の黒幕が操った昭和裏面史。
目次
第1章 右翼の大立て者(「うんと、えらい人物になるんだ」;生来のガキ大将 ほか)
第2章 政界の黒幕(「マ元帥は総司令部でお待ちしているそうです」;「絶対天皇制を護持してください」 ほか)
第3章 ヤクザ大同団結構想(右翼・ヤクザ連合vs.左翼・反安保勢力;動員博徒一万八千人、テキヤ一万人、右翼四千人 ほか)
第4章 フィクサー事件簿(「ラテンクォーター」と力道山;「児玉先生、力道山に注意してくださいよ」 ほか)
第5章 ロッキード事件の主役(ロッキード社の秘密代理人;「全日空に売り込むように」 ほか)
著者等紹介
大下英治[オオシタエイジ]
1944年、広島県に生まれる。広島大学文学部を卒業。週刊文春記者をへて、作家として政財官界から芸能、犯罪まで幅広いジャンルで旺盛な創作活動をつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinupon
24
本当の黒幕は、なかなか表には出てきませんね。ただここに出て来る人たちは、確かに歴史のある部分では黒幕的な関わりをした人たちですね。2014/05/16
姉勤
19
児玉誉士夫伝。戦後日本の黒幕というよりも、むしろ黒子ではないか。脚本家や演出家、注文を出す客は当然上位にいて、彼らの走狗だった感は否めない。自分のバックボーンである右翼,アウトローを結集させ、立場を高めようと画策したことが、結局、逆に存在を歪め、窮地に立たせるものだったし、外国人犯罪者はびこる遠因になったのもフィクサーというには相応しくも思えない。児玉よりも真っ当なフリをした作中のブン屋、政治屋、財界人の方がより貪欲でタチが悪い。社会の一端を知る意味でも、高校生の課題図書にしてもいい。ふりがなも多いし。2012/04/16
α0350α
10
黒幕!この本のタイトルにぴったりな人物ですね。政治家との関わりが興味深かったです。2017/10/13
レコバ
5
児玉誉士夫の評伝。戦中の動乱期に泡銭を貯め、ひっそりと去っていくはずの男が、歴史の転換点の生け贄となり、大いなる虚像を形成した。そんな印象かな。2014/06/12
KJ
4
戦中の中国で独自の機関を設立し莫大な資産を形成した胆力は流石だ。戦後は海軍や右翼との連絡役として権力の中枢で影響力を増す。鳩山一郎に新党結成を説得し岸信介の苦境に手を差し伸べる。安保闘争を経て拡大した左翼勢力に対抗する為に任侠団体の大同団結を画策する。日韓交渉の折衝役を担い多数の経済事件に絡む。角福戦争では中曽根攻略に奔走する。ロッキード事件では日本の国防省とまで呼ばれ多額の政治資金を動かす。改めて戦後日本における黒幕の絶大な存在感が浮かび上がる。果たして児玉が日本を利用したのか日本が児玉を利用したのか。2022/02/15