出版社内容情報
《内容》 看護婦はなぜ疲れるのか。「巻き込まれずに共感せよ」「怒ってはいけない!」「うんざりするな!!」――看護は肉体労働でも頭脳労働でもあるが、なにより感情労働だ。どう感じるべきかが強制され、やがて自分の気持ちさえ見えなくなってくる。隠され、貶められ、ないものとされてきた<感情>をキーワードに、「看護とは何か」を縦横に論じた記念碑的論考! 《目次》 序章 見えない看護婦 1 看護の仕事 2 感情労働としての看護 3 看護婦のイメージ 4 「共感」という神話 5 身体が語る言葉 6 看護における無意識のコミュニケーション 7 死との出会い 8 傷つく看護婦、傷つける看護婦 9 看護婦という生き方 10 組織のなかの看護婦 終章 看護の行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひなた*ぼっこ
15
夜勤のお供。看護師は感情労働だから疲労する。特に人の生き死にに関わる仕事だから余計に大変。個人的には看護師は日常の生活のお世話をしつつも時に生死にも触れるから大変なのかなって思う。葬儀屋とかなら死者を労ることに終始するからまだマシかな。勝手な想像だけど。相手に寄り添う仕事なのに、あまり個人の感情をさらけ出すことをよしとしない職業人としての固定観念があるからややこしくなる。2020/01/28
きゅー
6
看護という仕事における感情面に焦点を当てた一冊。看護師は患者との関係だけではなく、同僚、医師等との関係においてさまざまな葛藤や悩みを抱きながら働いている。自らの感情を吐露することは、プロフェッショナルとして恥をさらすことのように思われ、公にされることが少なかったという。感情労働としての看護をこれほど多面的に論じた書は他にないのでは。人工中絶手術に関わる際の感情、特にやりたくない仕事をやらされることへの怒り、そして中絶を希望する患者への怒りについて書かれたパートなど読者である私も強く心を揺さぶられた。2024/04/11
CBF
3
(★★★★☆) 労働条件の厳しさ、人手不足、交代勤務のつらさなど、誰の目にも明らかな問題以上に、看護婦を悩ませている問題があります。それが本書で見ていこうとする、看護婦自身が日々体験している感情の問題です。最近新聞を賑わせている医療事故や看護婦による犯罪にしても、その裏側には、軽んじられ、無視されてきた感情が、語られないままに渦巻いているのではないでしょうかー。 読みながら、看護婦(士)として働く友達の顔が思い浮かんだ。看護の仕事が、医療であると同時に、究極の感情労働であることがよく理解できた。2020/08/05
JunTHR
3
「シリーズ ケアをひらく」第1期?の良書。大量の引用や資料を使いながら、著者自身の知る事例も紹介して、様々な看護の理論に基づく「感情労働としての看護」のあり方の解説と分析を行う労作。 すごく読み応えがあり、面白かったし、家族に看護師がいるものとしては、とても参考にもなる。彼女が時折こぼす愚痴や不満が、まさに解説されていた。 2018/12/12
☆こまトゥーゆ☆
3
仕事の時の自分は元気でハキハキ__休みの日はぐったりしている自分は知ってた。演じてる、無理しているとは全く思ってみなかった。こうでありたい自分を実践していると思ってた__(感情労働を)指摘されてそりゃ疲れるの当たり前。自宅で恥ずかしながらぬいぐるみに癒されるのも自分なりにバランス取っている事なんだろうなって納得した。仕事上感情って煩わしいと思っていたけれど「看護師が自らの感情に気づくことは、感情の対称性を通して患者の感情にも気づくことにもなるのです」って。上手く対応できないのは自分が寛容でないからだ、努力2014/07/17