文春新書
中国はなぜ「反日」になったか

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  • サイズ 新書判/ページ数 230p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166603190
  • NDC分類 319.220
  • Cコード C0222

内容説明

中国が「反日」姿勢を鮮明にしたのは、たかだか十数年、江沢民が実権を握ってからに過ぎない―。一九七二年の国交回復以来、親愛と憎悪の間を大きく揺れ動いてきた日本と中国の関係を、歴史の遠近法で検証してみると、なぜ中国側が首相の靖国参拝を問題とし、繰り返し「歴史問題」を取り上げて謝罪を要求するのかが明確になる。全土を覆うかにみえる「反日」は、中国側が仕掛けた戦略なのだ。

目次

序章 国交三十年の風景
第1章 歴史問題をめぐる中国指導部の矛盾―江沢民訪日の教訓
第2章 「日本人民を刺激すべきでない」―歴史問題で修正図った朱鎔基訪日
第3章 「皇軍に感謝する」―毛沢東・周恩来の対日戦略
第4章 「迷惑」か「謝罪」か―日中国交正常化の限界
第5章 歴史問題の浮上―「反覇権」外交の転換
第6章 天安門事件の衝撃―日本への再評価
第7章 江沢民体制と愛国主義の鼓舞―日中の相互反発
第8章 「善意をもって隣国に対処する」―胡錦涛政権と歴史問題
終章 歴史問題はどこへ行く

著者等紹介

清水美和[シミズヨシカズ]
1953年、名古屋市生まれ。京都大学経済学部卒。中日新聞社入社、三重総局、東京社会部、特別報道部を経て、北京語言学院で語学研修。その後、香港特派員、北京特派員、米コロンビア大学客員研究員等を歴任、2001年12月まで中国総局長。02年1月より東京新聞(中日新聞東京本社)編集委員。中国滞在十年の経験を生かし中国報道、評論活動を展開
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おらひらお

8
2003年初版。中国が戦略的友好関係から反日政策へと転換し、その問題点を指摘したものです。キーマンとしては江沢民でしょうか。ただ、極端に民衆を煽ることは矛盾が多い現体制への批判へと矛先を変える可能性もあり慎重にコントロールすべき点でしょう。逆に日本は視野が狭く、アメリカべったりですが、米中は巧みに日本を抑え込もうとしていることは本書でも指摘されています。日本が自立できる日は来るのでしょうか?中国が反日政策をとるまでの通史的検討が行われていて、勉強になる一冊でした。2013/10/24

さいごの砦

2
約15年前、小泉政権時の本で、新書にしては少し古いもの。中国の『反日』が天安門事件と江沢民政権の愛国教育が転換点となっており、共産党政権の正統性確立のために格好の標的のなったとしている。 清水氏はこれを必ずしも政権中枢部が意図したものでなかったという代表的な例として胡耀邦の言葉で締めくくる。 領土問題の重要性を軽視していた清水氏の日中関係は改善していくという予想は外れているが、中国反日の原点を知る上では重要な文献であると感じた。2016/12/23

ののまる

2
中国の情報統制が撤廃されないならば、地道な民間交流しかない。しかし、清水美和さんの本は、どれも目配りがよく、精度が高い。2013/09/12

Naota_t

1
★3.3/中国における20世紀後半の戦略的「反日」政策について書かれている。様々な政治的事実が書かれているが、そこから先の考察などが薄い。個人的には、もっと歴史的・地政学的に、なぜ「反日」なのかを知りたかった。政治によって反日か否か、右顧左眄するのは韓国と同じだ。近年は目立った反日的活動が見られないが、いつでも顕在化するリスクを孕んでいる。直近で『南京事件』(笠原十九司)を読んだので、理解が進んだ。著者は、天安門事件当時に偶然現地にいた。その話をもう少し膨らませてくれたら、読者に学びも多かったと思う。2022/04/18

Kentaro

1
残念ながらA級戦犯という、アメリカにより作り上げられた戦争犯罪の誤解をきっちりと乗り越えない限り、靖国参拝の目的が当時の日本の家族のため、子孫のために戦った御霊の供養以外に歪曲されることが繰り返されるのだと思います。 私も大学生の時に南京を訪れたとき、そのときの中国人にあなた達日本人を恨んではいないし、あなた達は悪くないとお茶屋さんで歓迎された日を思い出します。 今後もパフォーマンスによって、反日を起こさせるようなことはあって欲しくないなと感じた一冊でした。2017/07/08

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