中公文庫<br> 阿部定手記

中公文庫
阿部定手記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 293p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122030725
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C1121

内容説明

「愛する男の身も心も自分のものにしたいのは、世の女の方も私も同じ」―世間を賑わせた事件から十二年を経て、マスコミに作られたエログロのイメージを払拭しようと阿部定自身が心境を綴った『手記』をはじめ、予審訊問調書、坂口安吾対談、事件当時の記事を全収録。時を越え多くの人の心を揺さぶった女性の一生を浮き彫りにする決定版資料集。

目次

事件発生から逮捕まで―新聞報道に見る昭和十一年五月
誌上緊急特集―『婦人公論』昭和十一年七月号より
『艶恨録』―予審訊問調書
判決全文―昭和十一年十二月二十一日
出所そして戦後―新聞報道に見る昭和十六年・二十二年
二度目のブームの中で
『阿部定手記―愛の半生』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gtn

12
猟奇的事件も生い立ちを追えば得心することがある。定の近所のおばさんとその娘の談話。定は幼いころから「欲しいと思ったものは、誰がなんと云おうと、どうしても手に入れなければ承知しない性質をもっていた」とおばさん。その娘は定と同い年で仲良しだが、「こんなことも仕兼ねないようなところがあった」と述懐する。思うに、定の独占欲と、エクスタシーと破滅を求める石田吉蔵のマゾヒズムが合わさって、この事件を生んだのだろう。それをすべて理解した坂口安吾が定を励まし続けるのが印象的。2019/03/19

どすきん

4
予審尋問調書は1〜8まであったらしいが、掲載は6まで。手記本体はゴーストライターが書いた説もあり、今ひとつスッキリしない部分もある。お上の配慮により偽名をもらい、世間に分からぬ様に社会復帰出来たのに、下らぬ本を告訴して穏やかな生活を終わらせてしまったのは、よい事だったのだろうか。2017/04/26

美麗

3
共感しかなかった。阿部定の言う通り『ただしないだけ』で、同じことを思う女は沢山いると思う。ヤンデレの自覚がある人は是非読むといい。疑似体験ができて色々とスッキリするから。坂口安吾との対談も面白い。安吾の陶酔っぷり(笑)さすが男メンヘラなだけあるわ。2013/12/25

まふ

2
昭和11年2・26事件あととんでもない事件が発生した。世に謂う阿部定事件。事件の名前は知っていたものの、初めてその事実に触れた。阿部定本人が決してやましく思っておらず、誇りにすら感じているようであること、全く隠すことなく露骨に事実関係が答えられていること、懲役6年と量刑としては軽いものであったこと、小宮という中京商業の校長が阿部定の魅力に参って知らないうちに巻きこまれ社会から抹殺されたこと、阿部定は結局はよく分からないままにこの世から消えたことなど、印象に残ったことが多い。貴重な社会史的資料である。2001/10/28

佑依-Yui-

0
彼女の供述は、性に関連する日本文学の最高峰である。筆者の解説を誇張する様だが、心より同意する。言葉遣い、行間からもしっとりとした艶かしさが伝わってくる様だ。安部公房との対談も、彼がゆっくりと蛇の様な彼女の魅力に締められていく様でとても面白かった。消息が未だに判明していない定…。殺人者ではあるが、十字架を背負った生き方とはまた少し違った人生を歩んだ様に思う。2015/05/06

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