集英社新書
日本の古代語を探る―詩学への道

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  • サイズ 新書判/ページ数 217p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087202847
  • NDC分類 810.23
  • Cコード C0281

内容説明

神話学や人類学などの成果を踏まえた広い視野で、『古事記』をはじめとする古代文学研究史に巨大な足跡を残してきた西郷信綱氏。本書には、今なお先鋭でありつづける著者による最新の論考が、数多く収められている。豊葦原水穂国、木と毛、旅、石、東西南北…、片々たる言葉を手がかりに飛翔した想像力は、字義を辞書的に明らかにするだけでは決して辿りつくことのできない豊饒なる古代世界へと、いつしか読み手を誘ってくれる。遙か遠い時代、文字以前のその場所に、私たちはいかに降り立つことができるのか。

目次

木は大地の毛であった
「タビ」(旅)という語の由来
筑波山三題
キトラ古墳の「キトラ」について
方位のことば(東・西・南・北)
芭蕉の一句―「シト」か「バリ」か
ヲコとヲカシと
禅智内供の鼻の話―説話を読む
石の魂―『作庭記』を読んで
「シコ」という語をめぐって―一つの迷走
「豊葦原水穂国」とは何か―その政治的・文化的な意味を問う

著者等紹介

西郷信綱[サイゴウノブツナ]
1916年生まれ。東京大学文学部卒業。古典学者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

59
国文学者ってつくづく文章がうまいと思う。藤井貞和さんもそうだが、美文というのでなく文章に喚起力がある。悲しいことに古文の素養がない私には、半分も理解できていないのだろうが、文章の力に酔ってしまうのだ。本書は、記紀から芭蕉まで、単語の辞書的な意味がいかにあさはかなものであるかについての、エッセイ風の論集。言語学的にでも民俗学的にでもなく副題にあるように"詩学"としかいいようもない方法で、単語にこだわり抜く。私の昨今の興味分野の面だけ触れれば、毛野川が鬼怒川と呼ばれるようになった、つまり"ケ"が"キ"に転化↓2017/02/02

はちめ

8
三読。前半部分の軽いエッセイ的な書きぶりの、木は大地の毛であるとか、旅は田臥だとか、芭蕉の句はシトかバリかとかの部分は面白いが、「思想」に掲載された豊葦原水穂国は面白味に欠ける。思想掲載で詩学的な感覚が薄まってしまったということだろうか。☆☆☆☆2020/03/20

はちめ

2
著者の創造力、時に妄想が適度に発揮されて、日本古代語の詩学が醸し出されている。著者が何度も強調しているように、日本の古代社会は無文字社会若しくは文字社会への移行期であったことを前提としないと、解釈において大きな間違いを起こすことになる。☆☆☆☆★2018/09/17

はちめ

1
無文字時代の言葉に迫る試みは類推に類推を重ねる以外方法がなく、したがってそれを読み取るには詩を読む時と同じような感性を必要とするということが、本書が「詩学への道」と副題が付けられた理由だと思います。2013/09/18

rico

0
すばらしい本でした。2010/01/31

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