内容説明
長野県上田市の郊外に建つ、コンクリート打ち放しの平屋建て、建坪百二十坪の、十字袈形をした小さな私設美術館「無言館」。日中戦争、太平洋戦争で、卒業後、もしくは学業半ばで、戦地に駆り出され戦死した画学生の、遺作や遺品が約三百点、展示してある。建設のきっかけは、著者と画家・野見山暁治氏との出会いだった。「戦死した仲間たちの絵」の話に共感し、全国の戦没画学生の遺族を訪問する旅を、氏といっしょにはじめたのだった。
目次
はじめに 「後ろめたさ」の美術館
第1章 「無言館」縁起
第2章 「無言館」の画家たち
第3章 「無言館」懴悔録
第4章 「無言館」その後
第5章 「無言館」への手紙
著者等紹介
窪島誠一郎[クボシマセイイチロウ]
1941年東京生まれ。信濃デッサン館、無言館館主。作家。印刷工、酒場経営などを経て、65年東京世田谷に「キッド・アイラック・アート・ホール」を設立。また七九年長野県上田市に美術館「信濃デッサン館」を、八七年ニューヨーク州に「野田英夫記念美術館」を、九七年「無言館」を設立した
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感想・レビュー
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安国寺@灯れ松明の火
4
戦没画学生慰霊美術館「無言館」館主の回想録。驚くほど率直な言葉で、意外でした。最初から揺るぎない信念をもって創設されたとばかり思っていましたが、「平和祈念」と「美術」のギャップに悩んだり、戦後世代の「後ろめたさ」を感じながら歩んできた様子を包み隠さず書き綴っています。同時に、若くして戦死した画学生らのエピソードもリアルに、淡々と紹介され、圧倒されるばかりです。戦争に対する考え方はいろいろあるでしょうが、「なかったことにする」ことだけは絶対に許されないと改めて思い知らされました。2010/06/26
かりん
2
4:今年行きたいな、と思っている無言館について。画学生たちへの思いに残るわだかまり、まつりあげられる違和感…納得です。私はいつも赤線引きながら本を読むんですが、なぜかこの本は一本も線を引けませんでした。全体を味わう本ということでしょうか。2010/01/19
そーすけ
1
175*この人は、ダメだ。遺族をバカにしている。ずっと抱いていた違和感に納得。2018/08/08
森閑書庫
0
戦没画学生の「死」に着目する本ではない。画学生たちが、「生きた」という所に視点ををおいているという所にこの著者の不思議さがある。どんなに発展途上の才能であっても彼らは飽くまで芸術家であった、という視点の下にこの本は立脚している。2011/05/21
柴犬 太郎
0
そのうち行きたいと思っていた無言館の本。創設者である窪島氏の葛藤なども抱えている。2009/07/17