内容説明
山上潔は焦っていた。35歳、独身である。自発的に独身を続けているわけではない。結婚相手に縁がないだけである。本人は結婚したくて仕方がない。容姿、学歴、年収が特に劣っているとは思えない。そんな山上が、初めて参加した「お見合いパーティ」で、誰が見ても最高の美女を射止めることになった。西畑茜、29歳。理知的な美貌と抜群のプロポーション、洗練されたエレガントな雰囲気、こんな素敵な女性がなぜ自分のような男を―。山上は嬉々として茜と交際をはじめ、ついに念願の「結婚」まで漕ぎ着けた。夢の新婚生活が始まった。特に夜のセックスは完璧だった。茜の圧倒的なテクニックに山上は溺れていく。だが―、無我夢中だった時期が過ぎると、山上は「妙なこと」に気がつく。茜の性格が時として別人のように変わるのだ。あるときはゴキブリを平然と踏み殺し、車の運転も極めて攻撃的。しかし、あるときはゴキブリを見ただけで絶叫し、車も安全運転。妻は本当は2人いるのではないか―。そんな恐怖を山上は感じるようになった…。