岩波文庫
芥川追想

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 526p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003120125
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

出版社内容情報

没後90年、近代文学の鬼才・芥川の作品は、今もなお愛読されている。その文学の変わらぬ魅力に迫る回想集.旧友,元同僚,同時代の作家達、家族…,人間芥川と関わった48人の随想が、記憶の中の作家の素顔を描き出す。

内容説明

歿後90年を経て今も読み継がれる作家の愛惜やまざる面影と真実を巡りあった48人が手繰りよせ語る。彼の生きた時代を現出させると共に、芥川の作品の生成の秘密をも遠望させてくれる同時代人たちの回想。

目次

1(芥川の事ども(菊池寛)
沓掛にて―芥川君の事(志賀直哉) ほか)
2(友人芥川の追憶(恒藤恭)
芥川君の戯曲(山本有三) ほか)
3(宇野に対する彼の友情(広津和郎)
芥川竜之介氏の死(水上滝太郎) ほか)
4(芥川君の思出(野口功造)
回想(西川英次郎) ほか)
5(『芥川竜之介全集』の事ども(小島政二郎)
心覚えなど(佐佐木茂索) ほか)
6(二十三年ののちに(芥川文)
父竜之介の映像(芥川比呂志) ほか)

この商品が入っている本棚

1 ~ 2件/全2件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

冬見

19
同年代を生きた文士たち、友人、同級生、妻、息子、主治医、女中、教え子……様々な視点から見た「私の/僕らの芥川竜之介」の話。太宰の追悼文集を読んだときと思ったけど、みんな自分にとっての芥川竜之介の物語を持っているのだなあと。様々な物語があって、きっとどれも正しくて、どれもすべてが本当で、それでもこれらすべてが真実ではないのだろうなと。ある面では正しくて、ある面では正しくない。彼らの去ったあとに生まれたわたしは残された物語のかけらを並べて想像する。きっとそこにまた、わたしの芥川竜之介の物語が生まれるのだろう。2018/11/25

kaoru

10
さまざまな人による芥川への追悼。若くして漱石に認められた彼が、家庭の苦労や創作の行き詰まりなどから病んでいった過程が少し理解できた。谷崎のような「図太さ」に欠けていた彼は芸術至上主義にも安住できず、文壇の人間関係も時に苦痛だったようだ。文学者たちの評より、弱者にいばらず、優しかった芥川の人柄を伝えるお手伝いや文夫人の文章に感銘を受けた。肉親など周囲に気を使い過ぎた一生だったともいえるし、学者になった方が幸せだったのかもしれない。だがその文学が今も読み継がれていることに芸術家としての彼の勝利を思う。2017/09/17

あきこ

8
芥川龍之介は有名なのに初めて知った作家、という気持ちになった。有名だから知っていただけで、ちゃんと知ろうとしていなかった。自殺をした人、暗いイメージがあった。本書は芥川亡きあとに書かれたものだが、有名な人から住み込みの女中さんまで、多くの人が語っている。共通しているのは「優しい人だった」ということ。全く予期していなかった一面である。読み進んでいくうちに芥川の苦悩の一端を垣間見れたような気持になって少し悲しくなった。本書後半の家族の文章も心にぐっときた。純粋で優秀過ぎた人にはこの世は辛いところだったようだ。2017/10/30

田中峰和

8
本人の文壇での評価はともかく、いまだに文芸賞として名を遺す芥川の死を悔やむ同時代人の随想集。死因は本人が常に語ったように「ボンヤリとした不安」だったのか。菊池寛や志賀直哉など、同業者の目から見ても生真面目で潔癖な芥川の在りし日の姿が語られる。何より、親族の回想が心に残る。従兄妹同士で結婚した妻の文が芥川を知ったのは8歳のときだった。そして彼が亡くなったのはその20年後。老いた養父母とは孫のような年齢差で、同居するにも何がしかの苦労があったに違いない。間に入る芥川の気苦労も自殺の原因とする人もいるという。2017/10/07

7
我々は唯茫々とした人生の中に佇んでいる。我々に平和を与えるものは眠りの外にある訳はない。あらゆる自然主義者は外科医のように残酷にこの事実を解剖している。しかし聖霊の子供たちはいつもこう云う人生の上に何か美しいものを残して行った。何か永遠を超えようとするものを・・。通俗小説に多くの小説家(久米・菊池・広津等)が傾いていく時代に、芥川の俗悪を厭う芸術的姿勢は不変(の文学者)であり、やはり同時代の作家たちとは一線を画す作家であったいえる。しかし、その苦悩は唯ぼんやりとした不安(悩み)として彼の死に問いかける。 2018/11/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12067244
  • ご注意事項