出版社内容情報
兆民の子・中江丑吉は北京で古代中国を研究する一方,中国革命と日本の侵略について論理的・哲学的に理解しようと努め,戦後日本の知識人に影響を与えた.本書はこの希有な故国離脱者についての本格的な評伝である.
内容説明
兆民の子・中江丑吉は、1914年中国に渡り、南満洲鉄道と袁世凱政府に短期間勤務した後、その生涯のほとんどを北京で市井の学者として過ごした。彼は古代中国を研究するかたわら、中国革命の発展と日本の侵略の行き着く先について論理的かつ哲学的に理解しようと努め、戦後日本の知識人に大きな影響を与えた。本書はこの故国離脱者として生きた希有な日本人についての本格的な評伝である。
目次
第1部 若き日の中江丑吉(日本における日々;生活の一変―1910年代)
第2部 古代中国世界の洞察(政治と思想;経学批判;中国の政治組織の性格)
第3部 中江の思想の成熟と洞察力(過去と現在との統合;ドイツ観念論哲学の重要性;中江丑吉の多面性)
付録 「中江丑吉の戦時の日記」(1939‐1942)