内容説明
舞台はトウキョウ。線路沿いの小さなマイホームで暮らす四人家族の物語。リストラされたことを家族に言えないお父さん。ドーナツを作っても食べてもらえないお母さん。アメリカ軍に入隊するお兄ちゃん。こっそりピアノを習ってる小学六年生の僕。ある日、家に帰ってみると中はごちゃごちゃで、誰もいなくなっていた。いったい、僕の家で何が起こっているのだろう?現代日本の家族を、リアルにシニカルに、だけどあたたかく描いた、感動作。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作を新たなる視点で描いた小説版。
著者等紹介
田中幸子[タナカサチコ]
1972年生まれ。東京都出身。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。米国ネブラスカ州に留学後、さまざまな職業を経て、東京藝術大学映像研究科一期生となり、脚本化・田中陽造氏、映画監督・黒沢清氏に師事。2007年に脚本『夏の旅』で第三十三回城戸賞受賞。『トウキョウソナタ』にて劇場用長編映画初参加(カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞)。小説も本作がデビューとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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乙郎さん
4
黒沢清監督の映画のノベライズ。映画では観る人の想像力に委ねられていたところが登場人物の内言として語られてしまうのは仕方ないにしても少し不満が残った。それを差し引いてもこのストーリー展開に身を委ねる快楽はいいね。家族の再生に繋がるガス抜きとしての逃避や映画では感動的だったラストはちょっとあっさりしすぎかな。2009/06/08
PEDpapa
3
家族って脆いけど、壊れても自然回復する力もあるのかも。2008/10/22
きのこ
2
小さなすれ違いで、脆くも崩れていく家族。何でも知っているようで、実はお互いのことを何も知らなかった。語り手が次々変わっていくが、どこか淡々と、諦めたように話が進んでいく。ラストに大事件勃発、大感動!!じゃないところが、話の流れ的に合ってる気がして良かった。2008/12/12
ゆきのん
2
家族って意外と脆いんだなぁ。2008/10/08
グッチー
1
映画は見たことがなかったが本屋さんで見つけてなんとなく読んだ。 「家族」という「人」のそれぞれの思いが交錯する。 一見ふつうに見える家族のそれぞれが実はそれぞれに闇を抱えている。 読み終わるとなんとなく希望を感じた。映画もぜひ見てみたいと思った。2014/08/15