出版社内容情報
明治天皇の密命を受けた中村春吉は、一路シベリアへ! シリーズ最終巻。
内容説明
西郷隆盛、生存確認!その吉報を受けた明治天皇は、すぐさま西郷救出の勅命を下す。シベリアの奥深くに囚われているという、かの豪傑を助け出すのは常人には不可能である。そこで白羽の矢が立ったのがバンカラの権化のような男、我らが中村春吉である。しかし、シベリアで彼を待ち受けるのは、恐ろしき猛獣たちと骸骨監獄、幽霊監獄―。果たして中村春吉は、幽閉の身となっている西郷隆盛を救出できるのか!?シリーズ最終作、ここに文庫化。エッセイ「中村春吉波瀾の人生」、未収録短篇五篇を併録。
著者等紹介
横田順彌[ヨコタジュンヤ]
作家。1945年、佐賀県に生まれ東京で育つ。法政大学法学部卒業。サラリーマンを経て、70年、「週刊少年チャンピオン」にショートショートを発表し、商業誌デビュー。古典SF研究・明治文化史研究でも精力的に活動を継続。『快男児 押川春浪』(87年、會津信吾との共著)で第9回日本SF大賞、『近代日本奇想小説史 明治篇』(2011年)で第32回日本SF大賞特別賞、第65回日本推理作家協会賞評論その他部門、第24回大衆文学研究賞大衆文学部門をそれぞれ受賞。2019年没
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年、神奈川県生まれ。出版社勤務を経てフリー編集者、ミステリ・SF評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
65
維新の英傑西郷隆盛は生きていた。露西亜の奸計に陥り、シベリアの監獄へと幽閉された大英雄、それを救出せんとするは快男児中村春吉。という粗筋からわかるように本書は明治の冒険小説のパスティーシュとなっています。そのためか現在の冒険小説、スパイ小説に見られるような緊迫感はほぼ無く。主人公の進む先に手掛かりや手助け、仲間になるものが連なりその様はまさに無人の野を行くが如し。本来なら噴飯ものだろうけど、それに明治の冒険小説という衣をまとわせると唯一無二の作品になる不思議。どこか昔の駘蕩たる雰囲気を漂わせた一冊でした。2024/02/19
oldman獺祭魚翁
34
ヨコジュンの壮大なホラ話が刊行された。 『幻綺行』『大聖神』に続く第三弾。 今回は風雲児中村春吉が、冒険家として自転車で世界一周をする前日談。 明治三十四年。 恐れ多くも天皇陛下の勅命を受けて、シベリアの奥地の監獄に幽閉された西郷南洲翁の救出に向かうとという冒険談。パパンパン! 2022/12/22
冬至楼均
2
光栄版を読んでいた筈だけど、最後までストーリーを思い出さなかった。 あの当時はシリーズを読んでいなかったので、主人公に入り込めなかったのだろう。SF要素(つまり作者の持ち味)が入っていない所為か、でなんとなく気が抜けた炭酸の様だった。2022/12/14
みやったー
2
中村春吉シリーズ最終作。少年少女の心震わす冒険活劇といったところ。見どころは中村と登場人物たちが機転を利かせて難局を脱する展開かな。余談だが先日入ったバーでテーブルに置いていたら、一眼見たバーテンさんに内容について聞かれたという表紙の引きの強さ。このタイトルと見た目は気になるよね2022/10/18