内容説明
肝試しに行った霊園にあった穴。降りていった友人がいつの間にか血だらけで後ろに立っていた…「地獄」、固定電話が混線して妙な声が入る「あぶない入道」、台風の夜、寝ている床から変な音がして、両親の寝室はもぬけの殻…地底人だと顔を強張らせる弟だが…「地底人、コワイ」など。黒史郎の綴る実話怪談の中から、選りすぐりの怪談と書き下ろしを含めた45編!
目次
地獄
笑顔
タクシーチケット
あぶない入道
母泥棒
バースデーケーキ
ハズレ
はないし
直ぐメモ
祟られる筒〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
230
黒史郎さんの新たな5編の書き下ろしを含む黒怪談傑作選ですね。前回読みました「人間崩壊」ほどには衝撃的ではなく幾分かまともな内容ですがベテランの味で人間性にも配慮した物語は味わい深く読ませますね。『笑顔』和寿さんが晩飯を買おうとコンビニに行くと店の横で細身の男がパーカーのフードをかぶり体を揺らして英語のラップを歌っていた。彼は若者に注意してやろうとコンビニに向かうと勘違いに気づく。ラップ男のフードの奥には七、八十代の老人の顔がありラップではなく意味不明のわめき声だった。だが買い物後に店を出ると沈黙していた。2022/04/08
HANA
64
実話怪談集。どこかで読んだような話が続くなと、粗筋見てみたら傑作選であった。著者も傑作選編まれるような存在になったのだな。と昔からのファンとしては感慨深くもある。この人の場合、怖さとユーモアが丁度いい感じで同居しているのが特徴で、本書もその例に漏れず。ま、中には「核爆発ドーン」とか「半裸族」「ばかT」とか笑うしかない作品も含まれておるわけですが。怪談の「嫌」さも「豚女」や「なめこ汁」のように十全に含まれているし。特に後者の正体のわからなさと言ったら…。この傑作選を機に、ますます著者が読まれるといいなあ。2019/02/26
あたびー
38
表紙怖すぎ😥読んでから気がついたのですが、書き下ろし5篇を加えた、既出の作品からなる傑作集でした。気が付かなかったということは純粋に楽しんだということです。中でも 話者の言葉をそのまま生かしたという「厠犬」は民話的でとても良かった。「とそ、とそ、とそ」という「こぼそい」足音。「ちんこま、ちんこま」と歩く音。「きすきす」と笑う。「チンチン」に怒る。独特のオノマトペに、ラストは酸鼻を極めるけれども、日本昔ばなしみたいなほのぼのした感じがしました。😊全体的に霊的なものより不思議な話が多く、それが好きです。2022/04/06
澤水月
20
書き下ろし5本の傑作再録集。なめこ汁、腕ウォッチ、たぬき、キメラ、父の影を追うなど褪せず強い。厠犬の擬音の巧みさは何度読んでも近いのに別世界のような民話的世界観を構築し惹かれる2019/01/05
yashico
19
てっとり早く選んだ傑作選!(笑)色んな話があって面白かったが、めっちゃ怖い!みたいな衝撃的なものは無かった。短い実話怪談系はゾワゾワ来たと思ったら終わってしまうので、あまり怖いのには出会えないな~。軽く読めるし1話1話が短いので合間に楽しむにはいい。2019/05/31