内容説明
黒史郎の奇妙なテイストの怪談が新たなシリーズで始動!妻が産気づき病院に連れて行った後、家に戻った夫。そこに母親から不可思議な電話が…「サンケヅク」、同級生の女友達の特技は幽体離脱。身体を見張っててという彼女の身に起きたこと「幽体離脱」、毎晩大量飲酒をするも吐いたことはない。ただ一度だけ、あの時吐いたものはいったい?「厚意を吐く」など39話を収録。暗闇の中にそっと佇む怪異たちはじんわりと纏わりつく。
目次
いわくつき従業員
からから人形
ゲネス
サンケヅク
ソフトクリームまで?
ファンファーレ
ベンは見ている
ろくろ首
挨拶
遺言〔ほか〕
著者等紹介
黒史郎[クロシロウ]
小説家として活動する傍ら、アニメやゲーム関係の仕事も精力的におこなっている。実話怪談も多く手掛けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
178
怪談文学はエンタメ小説だと言われていますね。冷静に考えれば哀しく悲惨で遣り切れない話も、根が陽気な著者の筆にかかると決して暗い後味が残らないのは一番の長所だと思いますよね。『豹変』今から二十年ほど前に南田さんは大阪で宝石販売の会社を経営していて店舗はなく出張販売専門で、この日も十五人の社員と共に広島へ向かった。現地のホテルの大広間を借りて展示販売の設営を前日に行うのだが、なぜか有り得ないトラブル続きで時間を食い夕方になった挙句に誰もホテルの宿泊の予約を入れてなくて何処も満室だったが一軒だけ空き室があった。2021/01/24
HANA
69
実話怪談集。相変わらず上手い。それぞれの話の裏で何かが起こっており、それが読者の想像によって補われる。その何かを想像するのが、とても怖い。同時にその何かがとても嫌な事だけはわかるというのが、何とも言えない気分にさせられる。亡くなった弟との思い出が最後の一行で一気に引っ繰り返る「ゲネス」や、「牛の首」を連想させられる「父の怖い話」、本当に意味が解らない所が怖い「明治」等、どの話も不穏な気配が満ち満ちていて怪談の嫌さをとことんまで味合わせてくれる。やはりこの著者の怪談は、ある意味安心して読むことが出来るなあ。2018/06/16
らすかる
39
2時間で読んでしまった! 表紙がめっちゃ怖いから身構えて読んだら、そこまでは怖くなかった💦 実話系怪談でよく聞くはなし。う~ん、免疫がつきすぎたのかな~。心の底から凍りつきたかったのに。2019/08/12
澤水月
22
子供の愛しさ儚さ光るゲネス、凄くいい…末尾が怖いけど。父の怖い話、何でも呑む子も印象深い。舐め舞いはおぞましさの中に蠱惑的な熱含む。家族とは…と考えさせられる話が多めかなと思って後書きでなるほど、と。全体に良質で良い2018/05/04
かおりんご
19
ホラー。初読み作家さん。どことなく聞いたことのあるような話もあり。今ひとつ、世界に入らなかった。家に拒絶される人の話は、読んでいて切なくなる。そんなこともあるものなのね。2021/01/30