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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
113
映画を観る前に読んでいてよかった。映画では中々描ききれない登場人物のそれぞれの苦悩や内面までも、この本書では手に取るように分かる。映画を鑑賞済みの方にも本書を読んでもらいたい。切なくはあるけれど、とても素敵な大人のお伽話です。2018/04/08
ねりわさび
91
ギレルモ デルトロ執筆によるファンタジー映画の原作。半魚人と社会から疎外されたヒロインたち、それらを利用し破滅させようとする隠滅としたプチ権力者たちを交えて物語が描かれている。長編なのですがドラマ展開がハラハラさせる構成になっていてリズム良く読むことができます。冗長に思えた伏線が後半で明かされたりするところも注目。たいへん面白かったですね。2023/10/03
Willie the Wildcat
73
植え付けられた固定概念や先入観が自他の思考を狭め、心底に潜めることとなる個性。神が齎した”奇跡”が、登場人物1人1人を、物心の縛りから解放。相互に、転機が転機となる感。共生。中でも、公私に渡って理想と現実の狭間にもがくリチャードの存在感は抜群。最期の詫びは、懺悔と感謝。周囲の変化が時に残酷であり、救いでもある。ジャイルズが語る”矛盾”が象徴。自由故の孤独感。現代社会の落とし穴とも言える。イライザと”彼”の旅立ちは、”導き”である。映画には映画の良さがあったが、文字故の深みを堪能。2018/04/18
Bugsy Malone
69
しがらみや境遇を背負い、それぞれが苦悩し喘ぐ。ここに登場する人々は、それらを受け入れながらも自分の在り方を貫き通す。映画は映像美と懐かしさ、こだわりが際立つとても素敵なラブストーリー、小説では更に細やかな心情を加味し、心の再生という意味合いをより一層強く持たせているように感じました。ラストでちょっぴりラヴクラフトを思わせるのは監督の愛とお茶目心なのかな、などとも思ってしまいました。いずれにせよ映画も小説も監督の素晴らしい贈り物です。2020/10/22
keroppi
61
映画に感動して、小説も読んだ。映画は約2時間、小説は約600ページ。それぞれに、映画でしか出来ない世界観があり、小説だから出来る登場人物の詳細な描写がある。小説では、ストリックランドと、その家族に多くのページ数がさかれ、彼の心理が深められた。映画では、文字では表現出来ない、音楽や映像が生み出す世界観を創り上げた。お互いに補完しあって、この世界を広げているようだ。そして、私はこの水に満たされた世界に溺れてしまう。2018/04/13