出版社内容情報
恐怖
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
実話怪談集。ああ、嫌だ。とても嫌だ。何が起きているのかわからないのに、とても嫌な事だけが起きているのがわかる。大部分の話にこの著者独特の欝々とした空気が込められていて、それがとても嫌なのに目が離せない。「愛されて三十五年」や「仕事にならない」の理不尽さや、「価値なし」「俺は悪くない」「小体な料理屋」「五寸釘」の応報っぷり、「郵便屋さん」「裏切り者」の得体の知れなさ。様々な話が収録されているが、底流に流れているのはいずれも嫌さで、個人的には大満足。この嫌さこそが怪談である。読みながらそんな気分にさせられた。2017/11/26
澤水月
20
「超怖」に何かが起きているのだろうか、前書き後書きなくそれが怖い。本の題名ももうちょっと…内容クオリティそこそこ(愛されて35年、喰い合う、小体な料理屋など割と好き)だが、ある「知られていない事件」に纏わる話が「犯人逮捕されてる事件」を想起させたりも。2017/10/30
うさっち
17
「五寸釘」「白いスーツ」「仕掛け」が印象的。地鎮祭はきちんとしないとね。2019/08/17
ROOM 237
16
Kindleアンリミ。個人的に福澤徹三さんに次ぐ優れた怪談師だと思う久田さん2冊目読了。淡々とした無駄のない語りは、読者ひとりひとりに想像する楽しみと余白を残し、読むことで恐怖が完成する仕組みになっているように感じる。おそらく実話怪談は、起きた事をそのまま全部書いた途端に胡散臭くなってしまう、その現象をおわかりでいらっしゃる多くを語らない出来る男の久田さん。全盛期の岩井志麻子さんの作品に出てきそうな、クズで恨まれたる所以がある人々の実体験が多く、因果応報と人を呪わば穴二つが脳裏をよぎる。2023/03/26
やんも
12
わたしには、これぐらいの因縁話がいい、これ以上はくどくて胃に重い。生者と死者の間に粘液のように糸をひく因縁。死者を否定しながも、逃れきれない体験者たち。それ相応の仕返しを受ける者もあれば、ただ指先が触れただけなのに、次第に理不尽な恐怖に浸食される人々もいる。傍観者でいられたら、よいのだが・・・2017/11/25