内容説明
立川談志に“禁句”は無い!落語界の風雲児と評された天才落語家・立川談志が、“まくら”で斬った平成の事件、世相、社会問題が文庫で味わえる!古今亭志ん朝、師匠・五代目柳家小さんの死とその意義を語り、「イリュージョン落語」を論ず。国際情勢と日本の政治家を皮肉り、アメリカ同時多発テロで「たが屋ぁ~」と発し、金正日万歳と叫ぶ。落語とは、幸福とは、常識とは、社会とは、人間とは、森羅万象の本質を語る珠玉の話芸。最円熟期に語られた“人間の業”をイッキ読みする“まくら”集。
目次
与太郎のロジック
すっぽかす努力をしている
共同幻想はもう壊れた
肉体が精神を見放した
待たせる理由
落語の前提条件は
五〇ドルの女
志ん朝の代わりに
志ん朝は、いい時に死んだ
火事が好き〔ほか〕
著者等紹介
立川談志[タテカワダンシ]
1936(昭和11)年、東京都に生まれる。本名、松岡克由。16歳で柳家小さんに入門、前座名「小よし」。18歳で二つ目に昇進し「小ゑん」。27歳で真打ちとなり、五代目立川談志を襲名する。1971(昭和46)年、参議院議員選挙に出馬し、全国区で当選。1977(昭和52)年まで国会議員をつとめる。1983(昭和58)年、真打ち制度などをめぐって落語協会と対立し、脱会。落語立川流を創設し、家元となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
48
立川談志が落語を始める前に喋った雑談的な「まくら」の部分だけをまとめた文庫本。以前出た『談志が語った"ニッポンの業"』の第二弾である。前巻が昭和のものもあったのに対し、本巻は全て平成のもの。具合が悪くなってからのものもあり、老いの姿も伺える。語りを文字に起こした本なので読み易く、生前の立川談志の口調も思い出されて内容も面白い。出てくる小咄がみな秀逸である。まくらの最中に客席から「古典をやれ」と言われ、その客を帰らせたやり取りも収録。その行為に賛否はあろうが、それが許されてしまった人の憂鬱がここにある。2015/12/02
姉勤
24
落語を聴きに来たんじゃない談志を聴きに来たんだ。一方で、落語好きでも談志は(が)嫌い、も多い。古典落語というフォーマルを削った、まくらを蒐めた第2弾(ただし、十分噺にはなっている)。平成11年から17年の世相、世論へのアクションとリアクション。晩年のイエモトの、エスプリと云おうか諧謔と云おうか、暴論と云おうか、託宣とのたまおうか。いずれにしろ、談志の声音が蘇る読者向きなのは変わりなし。だが、コンプライアンス、言葉狩り、はてはペテンに詭弁。ことばの無作法者があふれた今には、まだ価値はある。2016/07/26
ぐうぐう
21
「与太郎の奴は、そこに観客が居るわけじゃないんだよ、横に一緒にだれか居るんなら、この行為で、そやつをウケさせてやろうって了見だと、考えられるでしょう。誰もいないんだ。ことによると、この野郎、高度な遊びをやってんじゃねえかと思うんだよ。一人でね」。この落語への疑いは、談志が笑いの神に愛される、ひとつの条件だ。つまりは、この視点こそが、イリュージョンを生むのだろう。「ああ、そうか。志ん朝の客は、『落語』を聴きに来て、おれの客は、『おれ』を聴きに来てるんだなと」。その客の中に、笑いの神もいるはずだ。2015/11/30
チェアー
7
自分の主張がどうというより、多数が向いている方は絶対に向いてやらねえぜ、の矜持を感じる。芸術ってそうだものねえ。しかし、お辞儀の仕方は立派な談志。2016/03/04
0607xxx
6
面白い。落語に関してほとんど知識はないが、興味がある落語家なので巻末のQRコードの付録から立川談志の落語を聞いていこうと思う。2015/11/23