【入間丸広店】 じわじわくる怖さ 『長い腕』
第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞した本作は、ネット社会に横たわる闇と、閉鎖的な村社会の旧家に隠された忌まわしい秘密、というまったく対照的なテーマを巧妙に絡めた意欲作です。
女子学生たちが次々と転落死した、空港ロビーでの悲惨な事故。
ゲーム会社勤務の女性二人が、突然ビルの屋上から飛び降りて自殺する。
地方都市に住む女子中学生が、親友を猟銃で射殺した後に失踪。
何の繋がりも持たなそうに見えたこれらの事件の背後に、"ケイジロウ"という存在がいることに主人公・汐路は気づきます。
"ケイジロウ"とは誰なのか?
幼い日に崖から転落した両親は、果たして本当に無理心中だったのか?
故郷に古くから伝わる不気味な伝承、"キスケ""這いずり"の由来とは?
これらの謎を中核に、ストーリーはテンポ良く進みます。
終盤、意外な犯人の正体をつきとめ、真相に迫る展開は、さながらホラー映画のようにスリリングで、手に汗握ること間違いなしです。
読了後も、自分の住む家をぐるりと見回し、そこはかとなく不安を覚えるような...。
じわじわと浸食する恐怖。
ミステリーとホラー要素、両方を楽しみたい方におすすめの一冊です。
(入間丸広店 店長 岡本亜希子)




