8月から第三部に突入したNHKの大河ドラマ「平清盛」。視聴率の面では苦戦しているようですが、その理由と思われるのが、あまりにも煩雑な人間関係と、登場する武士や貴族の数の多さ。この大河ドラマを楽しむには、それなりの予備知識が必要です。とはいえ、関連書籍はあまりにも膨大。
そこで、手に入れやすい新書・文庫を中心に、理解の手がかりになりそうな良書をセレクトしました。
※写真右
『平清盛 NHK大河ドラマ・スト−リ− 後編』
ISBN: 9784149233604
NHK出版
税込1,100円
清盛と平家一門について知る
今回の大河ドラマの最大の特徴は、平清盛をこれまでのような「悪役」ではなく、新しい時代を切り開く「改革者」として描いているところにあります。そうした清盛の知られざる実像と、大河ドラマにも大勢登場する平家一門の人々それぞれの個性を知るための本です。
平清盛の闘い 幻の中世国家
元木泰雄 / 角川学芸出版
2011/11出版
ISBN : 4044092028
¥700 (税込)
巨大な権勢をもって驕り、「仏敵」「悪逆非道」の汚名を着せられた平清盛。彼が真に追いもとめたものとは、何だったのか? 後白河院政の否定、政敵たちへの仮借なき攻撃と断罪、強引な福原遷都計画、そして南都焼き討ち...。貴族と武士が一体化した中世国家という、新たな政治秩序の確立に邁進した足跡をつぶさに検証。波瀾に富んだ生涯と、先進的政治家としての鮮烈な実像を描きだす。従来の悪人像を覆した画期的な清盛論。
平氏一族は京の都で、人々を驚かすほどの贅沢におぼれたとされる。「平家物語」は、「平氏にあらずんば、人にあらず」と伝え、平氏の栄華を、「驕れるものは久しからず」と批評した。しかし、その頂点にあった清盛は、我侭な権力者などではなく、優れた見識をもった人物で、皇室や貴族に細かい気遣いをした。だがその甲斐もなく、晩年、我侭放題な後白河法皇と衝突してしまう。時代のはざまの中で、彼はいかに生きたのか。
「賢人」重盛、「暗愚」な宗盛、「運命の語り部」知盛、「こころ弱き人」維盛―。それぞれ『平家物語』の描きだしたイメージでよく知られる平家の人々。しかし「実像」はどうだったのか。当時の貴族社会や合戦の現実に目配りしつつ、人物それぞれの動きを丹念に追うことで、新たな「史実」が浮かびあがる。歴史研究の醍醐味を味わえる一書。
平家物語の女性たち
永井路子 / 文藝春秋
2011/06出版
ISBN : 9784167200497
¥580 (税込)
平清盛ら源平の武者たちの華麗な戦さを謳いあげた「平家物語」の舞台裏で、ひっそりと息づいていた女性たちがいた。清盛の気まぐれに翻弄される白拍子、天皇に愛されたばかりに宮廷を追われた小督局、戦場に青春を燃やした巴御前、幼帝を抱いて入水した二位尼と悲劇の中宮徳子。十余人の肖像を描く、読み継がれるベストセラー。
「平家物語」の世界に親しむ
大河ドラマの前半は、平家の台頭から保元・平治の乱に至るまでの流れでしたが、第三部からはいよいよ「平家物語」で描かれた時代に突入します。この機会にはじめて「平家」を読む人にも、久しぶりに読み返す人にもお勧めしたい解説書を選んでみました。
平家物語 無常を聴く
杉本秀太郎 / 講談社
2002/08出版
ISBN : 4061595601
¥1,365 (税込)
驕れる平家、その専横の犠牲者・成親と俊寛。清盛なきあとの平家を京から追う義仲、壇の浦に沈める義経。騒乱の巻き添えとなった多くの者、そして生き残った平家の人々。すべては「無常」の中に流れてゆく。平家一門の興隆から滅亡までを描いた不朽の古典を精読し、ゆれて定まらぬもの、常ならざるものと向きあった珠玉のエッセイ。第23回大仏次郎賞受賞作。
騒ぐだけの寺院勢力(=学者・マスメディア)、朝令暮改の為政者たち(=政府)、批判するだけの貴族たち(=野党)。「無常」と「普遍」、「栄光」と「没落」、本書では「平家物語」の登場人物をいくつかの立場・身分に分けてその心の動きを眺めつつ読み解いていく。同時に、物語の背景にある、いつの世も変わらない人間の各階層のドロドロを描き出す。
平家物語
石母田正 / 岩波書店
2004/12出版
ISBN : 4004140285
¥798 (税込)
すぐれた古典文学のひとつである「平家物語」は何故に長くかつ深く日本人の心をとらえてきたのか。その力は一体どこにあるのか。歴史家でかつ古典文学を深く愛好する著者が、時代についての学問的造詣と清新な感覚とによって、「平家物語」の文学としての本質を追求し、清盛、義経、義仲ら登場人物の人間像とその運命を生きいきと描く。
平家は倒れた。だから悪い? 平清盛は悪人? では、どう悪いのだろう。"日本のルーツ"平安時代に生きる人々は、実はあまりにも、「現代人」だった。院政、摂関政治、女帝、国家...知らないことだらけの歴史を見直してみる。「諸行無常」で片づけられない日本の歴史。古代の権力世界の住人達から、新しい歴史の広がりを見る縦横無尽の史論。
後白河上皇と清盛の微妙な関係
大河ドラマの前半は、源氏の棟梁・源義朝と清盛のライバル関係が軸でしたが、後半は後白河上皇と清盛の関係を軸に展開します。退位した後も上皇が政治の実権を握る「院政」とは何か、そして源平両氏を手玉にとった後白河上皇とはいかなる人物かを知るための本です。
平清盛と後白河院
元木泰雄 / 角川学芸出版
2012/03出版
ISBN : 4047035041
¥1,680 (税込)
帝王・後白河院と、保元・平治の乱を経てその最大の補佐役となった平清盛。しかし両者は、やがて激しく対立する。清盛暗殺の謀議・鹿ケ谷事件、治承三年政変と後白河幽閉。そして平氏政権の樹立―。後白河近臣の藤原信頼・成親と清盛の対立や、父・清盛と後白河の仲裁者であり、優れた軍事指揮官であった重盛の死など、清盛・後白河対立の看過されてきた背景を詳細に検証。武者の世へと至る平安末期の権力闘争を描きだす。
貴族社会が揺らぎ、武士の世へと移り変わろうとしていた平安末期。本来「中継ぎ」天皇だった後白河法皇は、宿命のライバルである平清盛や、木曽義仲、源頼朝ら武家の棟梁と渡り合い、何度も幽閉の憂き目に遭いながら、30年以上にわたる異例の院政を敷き続けた。しかし彼は、おそるべき記憶力をもつ一方、奇妙な振る舞いが目立ち、アスペルガー症候群だったという説もある。「平安最後の帝王」は賢帝だったのか、愚帝だったのか。その66年にわたる波瀾万丈の生涯を、新解釈を交えて読み解く。
院政 もうひとつの天皇制
美川圭 / 中央公論新社
2006/10出版
ISBN : 4121018672
¥861 (税込)
院政とはすでに譲位した上皇(院)による執政をいう。平安後期には白河・鳥羽・後白河の三上皇が百年余りにわたって専権を振るい、鎌倉初期には後鳥羽上皇が幕府と対峙した。承久の乱の敗北後、朝廷の地位は低下したが、院政自体は、変質しながらも江戸末期まで存続する。退位した天皇が権力を握れたのはなぜか。その権力構造はどのようなものであったか。律令制成立期から南北朝期まで、壮大なスケールで日本政治史を活写する。
梁塵秘抄
西郷信綱 / 筑摩書房
2004/10出版
ISBN : 4480088814
¥1,050 (税込)
中世の流行歌「今様」を後白河院が編んだ「梁塵秘抄」。登場するのは遊女、傀儡子、博徒、修験僧など秩序の外側に生きる人々だった。分けても、歌と舞いを生業として諸国をめぐる「遊女」の口の端にかかったとおぼしき歌は多い。遊びの歌、男女の歌、日常の喜びや悲しみの歌、思いをいかにも生き生きとリズミカルに表現する歌の数々。「一首一首の前で立ちどまり、そのことばを吟味しながら、できるだけゆっくり作品を享受し経験する」碩学の精確な読みの向うに、不思議に明るい日本の風土が見えてくる。
(編集部 A.N.)