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仏教にふれる本、あつめました。

6644248.jpg近年の仏像ブームに、今年3月に起きた震災の影響もあってか、今年は仏教関係の本や仏教特集を組んだ雑誌などが多く出版された年でした。「生」と「死」は表裏一体です。大きな衝撃とともに、出会いや別れを繰り返し、哀しいことや時にはしんどいこと、嬉しいことや楽しいことを通して「私たちはどのように生きるのか?」を強く考えさせられる1年だったのではないでしょうか? そこで、仏教をより身近にしてくれる本をあつめてみました。

仏教ってなんだろう?
やさしい仏教入門

ひとくちに「仏教」といっても、国や宗派や歴史が多く文献も資料も多いので、ここでは、近年刊行されたものの中から「入門版」にふさわしく「分かりやすい」をテーマとして4冊ご紹介します。

体全体を開けっぱなしにして足を組み、手を結び、背筋をピンと伸ばして座る、これが坐禅です。これが禅です。
『あったまる禅語』渡曾正純 本文より

楽しい「仏教生活」入門 プチ坐禅・仏像鑑賞・読経…疲れた心がすっきりする

楽しい「仏教生活」入門 プチ坐禅・仏像鑑賞・読経…疲れた心がすっきりする

佐々木宏幹 / 光文社
2010/06出版
ISBN : 4334976182
¥1,365 (税込)

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キリストの誕生日のクリスマスは知っていても、お釈迦様のお誕生日は意外と知られていません。本書は、そんなビギナーさんに向けて書かれた「仏教を日々の生活に取り入れるためのガイドブック」です。「日々是好日」の気持ちで読んでみると、「当たり前のことを当たり前に、丁寧に生活すること」と、毎日を愛しくかけがえのないものなのだと、あらためて感じさせてくれるから不思議ですね。

おとなの仏教入門 お釈迦様の悟りから仏事のマナ−まで

おとなの仏教入門 お釈迦様の悟りから仏事のマナ−まで

/ 日経BP社
2011/12出版
ISBN : 9784822260262
¥1,000 (税込)

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ありがたい仏画や仏像の美しい写真が目にも楽しく、気軽に読み進めることが出来るでしょう。釈迦の生きた2500年前の北インド料理を再現したり、スジャータが作ったであろう「乳粥」のレシピをつけてみたりと楽しい試みが満載です。今回の、この「仏教特集」のように「読む修行」と銘打って、お薦めの仏教本を22冊紹介しているので、あわせてチェックされてみてはいかがでしょう? 素敵な本が満載です。

あったまる禅語

あったまる禅語

渡會正純、石飛博光 / 廣済堂出版
2011/07出版
ISBN : 433165480X
¥630 (税込)

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漢字も多いし、一見するととっつきにくそうな仏教言葉だけれども、本書は読んで字のごとく、禅宗の文献の中から「あったまる禅語」を紹介した1冊です。思い悩む気持ちに、先人たちの知恵があたたかく勇気づけてくれます。ひとつの禅語を見開き2ページで、噛んで含めるようにやさしく紹介しているので、パッと開いたページから読むもよし、その時の気分で目次から探して読むもよし! な一冊です。

知識ゼロからの般若心経入門

知識ゼロからの般若心経入門

ひろさちや / 幻冬舎
2009/05出版
ISBN : 434490155X
¥1,365 (税込)

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「人生を安らかにしてくれる262文字の魔法」と般若心経を紹介する本書を読んでみると、あまりの分かりやすさに驚かされるでしょう。「般若心経」は「この世は「空」であるという智慧。つまり、生きていく為の智慧のお経なんですね。これを理解すれば「ハッピー」の道はひらける! と言っても過言ではないかもしれません。そんな風に考えてみると般若心経は「幸せのマントラ」といえるかもしれません。


キリスト教と比べてみる

親鸞は13世紀のドストエフスキーだといえます。つまり親鸞もドストエフスキーも「人は、生まれながらにして罪を背負って生きている」を大前提に、その上で「どのように人は生きていくのか」をテーマに、広く説いた人物だと言えるでしょう。
五木寛之

クリスマスや結婚式をキリスト教式で祝い、実家のお寺の宗派を知らず、あまり宗教にこだわりがなく生活している人が、ここ日本には多いと思います。私もその一人で、日常生活の中でこれといった宗教を意識しながらの生活はしてはいません。文芸の中で触れる宗教について考えたり、理解しようと思ったりする中で、キリスト教と仏教の大きな違いをひとつ、ここで紹介させて頂くと「「神(釈迦)は存在するのか?」という考えがあるかどうか」だと言えるでしょう。キリスト教圏の作家が「神の存在の有無の問いかけ」について書くのに対し、仏教圏の作家は釈迦を人間として捉えて「人がどのように生きていくのか?」をテーマに描いたものが多く見受けられます。「神は死んだ」と投げかけたニーチェやショーペンハウアーなどの哲学者の本もあわせて読んでみると、なるほど、仏教は「宗教」というよりも「哲学」により近いと思えてくるかもしれません。
冒頭の五木寛之さんの言葉は、以前私がお目にかかった際に伺ったお話です。せっかくの機会なので、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』とグレアム・グリーンの『情事の終わり』といった「神のみもとにいる」キリスト教圏の作家が書いた文芸作品を2作ご紹介します。

カラマーゾフの兄弟〈1〉

カラマーゾフの兄弟〈1〉

フョ−ドル・ミハイロヴィチ・ドストエフス / 光文社
2006/09出版
ISBN : 4334751067
¥760 (税込)

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強烈なほどの「性悪説」に生きる父フョードル・カラマーゾフと、それぞれ相異なりながらも、そんな父の血を色濃く引いた三人の兄弟の物語。カラマーゾフ家にかかわる人物の交錯が作り出す愛憎の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作中の名作です。「人は生まれながらして罪を背負っている」を大前提に、それでも生きていかなくてはならない、ではどのように生きていくのか? と、考えさせられる作品です。

情事の終り

情事の終り

グレ−アム・グリ−ン、田中西二郎 / 新潮社
2005/03出版
ISBN : 4102110011
¥662 (税込)

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中年の作家ベンドリクスと高級官僚の妻サラァの熱烈な恋が終わり、その恋をベンドリクスが自嘲気味に「情事」と名前を付けたとき、サラァのもとに「あなた」が現れる。「あなた」とはいったい誰なのか? 「神は存在するのか?」をテーマに繰り広げられる。幾度となく映画化され、レイフ・ファインズとジュリアン・ムーア主演版のものも数年前に上映された「男と女」の切ないラブストーリーです。


仏教界のスターたち

 
仏教界のアナーキストだった日蓮、ロックな親鸞、踊りながら念仏を唱え布教したパンクな一遍、ミステリアスな空海、e.t.c...、と、仏教界のスターは数多くいれど、ここでは「エンターテイメント」として楽しめるものをご紹介します。

親鸞

親鸞

五木寛之 / 講談社
2011/10出版
ISBN : 4062770601
¥590 (税込)

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貴族から武士へと「世の中のパワーバランス」が変わる、激動の平安時代末期に生きた親鸞の人生の物語。「いま、なぜ親鸞か?」の問いに、五木寛之は "人々の何百倍も深く悩み抜いた親鸞は「悩みの天才」だったと思う。だからこそ、今のような「悩み多き時代」に親鸞を書こうと思った" というようなメッセージを発表しています。ひとりの生身の人間、親鸞の物語をとおして「仏教」が身近に思えてくる作品です。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す

沙門空海唐の国にて鬼と宴す

夢枕獏 / 徳間書店
2010/02出版
ISBN : 4198931194
¥700 (税込)

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まさに「ファンタジーの妙」ですね。8世紀から9世紀にかけて生きた、ご存知「弘法大師」空海は、謎の多い人物です。そんな空海を題材に『陰陽師』を書いた夢枕獏がおくる一大ファンタジーが本作。遣唐使として唐の国に渡った空海と日本人留学生の橘 逸勢(たちばなのはやなり)を中心に、物の怪や鬼、妖怪猫といったキャラクターが跋扈する不思議で心地の良い世界が繰り広げられます。最後の一冊に手が伸びる頃には「もっとこの世界に浸っていたい」と思わせてくれることでしょう。

日蓮

日蓮

三田誠広 / 作品社
2007/09出版
ISBN : 4861821525
¥1,890 (税込)

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親鸞と同じ時代を生き、従来の宗教のあり方に「NO!」と、徹底して反体制を貫いた日蓮は、アナーキストな存在と言えるでしょう。それでいて、自らが「国の柱」となり得んとした日蓮の生涯を小説で綴られたのが本作です。やや飾り気のない文章に「馴れ」が必要かもしれませんが、「日蓮」の性質にはぴったりなのかもしれません。


近代/現代のスター

 
近代・現代でも、徳の高い、偉いお坊さまは大くいらっしゃいます。そのようなお坊さまをここで全てご紹介するときりがないので、中でも、とびきり異彩を放っていると思われるお坊さまを、私の独断と偏見で選んで、近代・現代からひとりずつご紹介します。

毒舌・仏教入門

毒舌・仏教入門

今東光 / 集英社
1993/03出版
ISBN : 4087480135
¥520 (税込)

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仏教界の近代スターと言えば、独断と偏見で今東光に1票入れたくなってしまいます。瀬戸内寂聴の師匠といえば、ピンと来る方もいらっしゃると思いますが、直木賞作家の和尚さんです。毒舌で有名で、週刊プレイボーイで連載されていた人生相談をまとめた『毒舌・人生相談』や『毒舌・日本史』など、本のタイトルに「毒舌」と冠されたシリーズがあります。仏教をより身近に、「あはは」と笑いながら読みたい方にお薦めです。毒舌の後ろに控えている今東光の人間の温かさにしんみりとさせられることでしょう。

男一代菩薩道 インド仏教の頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺

男一代菩薩道 インド仏教の頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺

小林三旅 / アスペクト
2008/01出版
ISBN : 4757214332
¥1,890 (税込)

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インド仏教の最高指導者として頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺を追いかけた、フジテレビのドキュメンタリー番組、「NONFIX」で放送された「男一代菩薩道」の取材を元にまとめられた一冊です。インドではヒンドゥーやイスラム、シーク、カソリック、プロテスタントなど、多くの宗教がありますが、カースト制度という厳然たる差別の事実を前に「人間は平等である」と唯一教えを説いているのが、仏教だそうです。不可触民解放と仏教復興に命を賭け、40年間も戦い続ける、この日本人僧侶に興味がある方は、故・山際元男の『破天』もあわせてお薦めです。


おまけ

 
仏教界の新旧スターの本を通して見えてくるのは、「お釈迦さまもお坊さんも、みんな人間なんだなぁ」という事ではないでしょうか? 最後に、そんな生身のお坊さんをテーマに描かれた漫画をご紹介します。

ファンシィダンス

ファンシィダンス

岡野玲子 / 小学館
1999/11出版
ISBN : 4091912915
¥610 (税込)

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アカルく、お洒落なシティーボーイを気取る主人公洋平は、寺の長男「跡継ぎ」である。バンドやディスコに明け暮れた大学生活を終え、微妙な関係の彼女もおいて、修行のためにお山にこもる......。80年代の風俗満載のこの漫画は、今読んでも色あせることはない。周防監督が本木雅弘主演で映画化もしているので、知っている人もいるのでは?

さて、今回の「仏教特集」いかがでしたか? 苦手意識もあり、あまり仏教に詳しくない「仏教ビギナー」の私が、最初の一歩として読んだみた本の中から、ただただ単純に「面白い!」と思えるものをご紹介しました。
今まで晴れ渡っていたと思えていた人生の中でも、突然堪え難いほどの雨風が吹き、嵐のような日々に変わることがあります。そんなとき、人は「どのように生きていくのか?」と静かに考えたくなるのかもしれません。今年は確かに「そんな年」だったように思われます。困難な時期、こんなとき、これらの仏教の本は、静かに考えはじめる第一歩の助けになるかもしれません。

(編集部 奥村知花)

2011.12.26 特集[TOP]  くらし なごむ

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