9月に入ると、ひと雨ごとに秋が近づいてくる今日この頃です。
今年の中秋の名月は9月12日。お月見といえば、昔はよくワレモコウやススキを飾り、母と一緒にお月見団子を用意しながら宵を心待ちにしたものですが、大人になると、つい日々の忙しさにかまけて、中秋の名月を愉しむのも忘れてしまいがちです。そこで、月にまつわる本を3つの視点からご紹介したいと思います。今年はこんな本を読みながら、お月見の準備をして、一歩一歩近づいてくる秋の気配をゆっくり愉しむのは、いかがでしょう?
お月見のお供に
丸くなったり細くなったりと、日ごとに姿を変える月。当たり前のように見ていますが、よくよく考えてみると「潮の満ち引き」など、不思議なことが沢山あります。そんな素朴な疑問やトリビアを科学的に解説する本を3冊ご紹介します。
夜空の中でもっとも明るい天体。夜ごとに形をかえる月。
バラエティに富んで不思議なすがたをみせる月。
今夜、月はどんなすがたをみせてくれるだろう...
『月のかがく』扉より
月のかがく
えびなみつる、中西昭雄 / 旬報社
2011/05出版
ISBN : 4845112108
¥1,470 (税込)
月にまつわる不思議を「天文学的」かつ「科学的」に絵と写真をふんだんにつかって解説しています。お月さまの「なぜ?」「なに?」を紐解く最初の一歩を踏み出す本として書かれた子供向けのやさしい内容ですが、「お月さま初心者」の大人でも充分に愉しめ、「お月見」には、おあつらえ向きの本です。
アポロ11号 月面着陸から現代へ
ピア−ス・ビゾニ−、日暮雅通 / 河出書房新社
2009/07出版
ISBN : 4309252281
¥3,360 (税込)
歴史上初めて人類を月面に到達させたアポロ11号の全貌を、未公開ショットやカラー写真と共に紹介するアポロ決定版。月面着陸に情熱を傾けた先人たちの記録を読みながら、望む月に思いを馳せるのはいかがでしょう。「宇宙」「科学」好きに関わらず、惹き込まれずにはいられません。
潮汐、暦、バイオリズムにも影響を与えるといわれる「月」の不思議と魅力を紹介する本書は、古来から「人はどのように月と関わってきたのか」を月暦や文化に関するトピックス満載に解説しています。月をモチーフとした芸術、占星術や神話、歴史的な側面からの解説を豊富に紹介している1冊です。
月の味を想像してみる
まあるく輝くお月さまを見上げると、白い月は「夜空にぽっかり空いた宇宙の窓のよう」だったり、赤く光る月は「夜に昇った静かな太陽のよう」だったりと、いろいろと想像が膨らんできます。バタースカッチのような黄色い月には何やら美味しさが詰まってそうな気さえしてきませんか? 満月を見て『ぐりとぐら』に出てくるカステラや、『ちびくろ・さんぼ』のホットケーキなどを思い出すのは、子供の頃の読書体験が「美味しい幸せ」と満月を結びつけているのかもしれません。今年の中秋の名月には「お団子」がなくても「ホットケーキ」や「カステラ」なんていうのも素敵です。
ちびくろ・さんぼ
ヘレン・バンナ−マン、フランク・ドビアス / 瑞雲舎
2005/04出版
ISBN : 4916016556
¥1,050 (税込)
『ちびくろ・さんぼ』を子供の頃に読み、長い間絶版になっていたのを寂しく思っていた人は多いのではないでしょうか。長い間愛され続けた作品なだけあって、いつの世でも、本書のお話や絵の持つ輝きは褪せることがありません。小さな可愛い男の子、ちびくろ・さんぼと、ジャングル中で一番立派になりたいトラたちのかけ合いが絶妙です。
ぐりとぐら
中川李枝子、大村百合子 / 福音館書店
2007/06出版
ISBN : 4834000826
¥840 (税込)
森にでかけた野ネズミ「ぐり」と「ぐら」が見つけた大きな卵。その大きな卵で作る、丸くふうわりとした大きな大きなカステラの甘い香りを想像した人も多いのではないでしょうか? 「朝から晩まで食べたってなくならない」カステラを、お月さまの味とかさねてページをめくってみませんか?
お月さまってどんなあじ?
ミヒャエル・グレイニェク、泉千穂子 / らんか社
1995/09出版
ISBN : 4883301060
¥1,575 (税込)
タイトル通り、「お月さまってどんなあじなんだろう。あまいのかな。しょっぱいのかな。ほんのひとくち、たべてみたいね。」から始まる本書は、空高く輝くお月さまを味わおうと、協力し合う動物たちの物語。高く乗っかり合い『ブレーメンの音楽隊』さながらに協力し合った結果、味わったお月さまのお味は如何に? 幸せな笑みが思わずこぼれる1冊です。
名作で読む。
人は月に何を求め、何を見出したのか? 哀しいとき、メランコリックな気分に浸りたい夜に、あるいは充足感に浸った宵に、ふと顔を上げてみると視界に飛び込んでくるお月さま。どんな環境にいても、いかなる境遇においても、万人に平等に降りそそぐのが月の光です。月を描写した作品は古今東西多くありますが、物語の主人公たちはどのような情景で、どんな心境でお月さまを見上げたのでしょうか?
月の明るい町に出てゆくと、濁った息をフッと一時に吐くことが出来た。『放浪記』本文より
月はみがきあげたように光っていたが、三人ともそれを仰ごうともしなかった。『次郎物語』本文より
放浪記
林芙美子 / 新潮社
2002/12出版
ISBN : 4101061017
¥780 (税込)
貧困にあえぎ「おなかがすいた」「お金がない」「寄り添う人がいない」などと愚痴を書きながらも、底抜けにエネルギッシュに夢へ向かって生きた林芙美子の日記を元に綴られた自叙伝。どん底にいながらも彼女の姿勢には、気持ちよいくらいの軽妙な清々しさや逞しさを感じるはず。本書には驚くほどに多くの月の情景が登場します。この「空を見上げる」という行為にこそ、どんなときにも上を向いて生き抜くヒントが隠されているのやもしれません。
次郎物語
下村湖人 / 新潮社
1987/06出版
ISBN : 4101105073
¥788 (税込)
「中秋の名月生まれ」の多感な少年、本田次郎の物語。5.15事件や 2.26事件と、日本が急激な変化を遂げる時代の中で、次郎の成長や心の揺れ動きをきめ細やかに描く不朽の名作です。5部構成のうち、物語のクライマックスともいえる第4章のキーワードは「満月」といっても過言ではないはず。余談ですが「満月」とあだ名される少年、大山君に和まされます。
萩原朔太郎詩集
萩原朔太郎、三好達治 / 岩波書店
1981/12出版
ISBN : 4003106210
¥945 (税込)
満月の宵をのんびりと楽しんだ昔の人を気取って、こんな本はいかがでしょう? 「日本近代詩の父」と称される萩原朔太郎の描く月は、いつだって物悲しく、切なさがいっぱい詰まっています。しかし、まるで孤独の中に望んだ月の光のように、視線を外すことが出来ないほどの美しい情景が広がります。しんみりと満月を望みたい大人にお薦めの1冊です。
満月の宵を愉しんだら。
子供も大人も満月の余韻に浸りながら、こんな可愛らしい本を枕元に持っていくのはいかがでしょう?
おやすみなさいおつきさま
マ−ガレット・ワイズ・ブラウン、クレメント・G・ハ−ド / 評論社
1979/09出版
ISBN : 4566002330
¥1,260 (税込)
まだまだ眠りにつきたくない子ウサギのベッドタイム・ストーリー。目に飛び込んでくるあらゆるものに「おやすみなさい」の挨拶をしながら、読者(子供)も心地良い眠りにつけるというスグレものです。お子様向けの作品ですが、あたたかく、やさしい眠りにつきたいのは子供も大人もきっとおなじはず。満月を愉しみ、いつもよりもちょっとだけゆるやかな気分で過ごす一日の締めくくりには、こんな本がお薦めです。
(編集部 奥村知花)
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新宿南店で「中秋の月、満月に読む本、あつめました。」ミニフェア開催!
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