Facebookは何がスゴい? "ソーシャル"の入り口で読みたい本特集
アラブでの「Facebook革命」、映画「ソーシャルネットワーク」の公開。雑誌では「Facebook特集」が相次ぎ、書店の店頭では特集コーナーが新設され、TwitterのTL上では「2011年はFacebookがキャズムを超える!」「いや日本でははやらない!」と、はてしない議論が繰り広げられています。
今回は、いま話題沸騰のFacebookを特集。Facebook創設者マーク・ザッカーバーグとその思想/日本のインターネット文化/実名主義「Facebook」のインパクト/ソーシャルメディアが変えるビジネス、と、全体を大きく4つに分けてご紹介します。
「Facebook」創設者 マーク・ザッカーバーグ
先日、Facebook誕生の物語を描いた話題の映画「ソーシャルネットワーク」を観てきました。この映画がまず一番に描くのは Facebook創設者にして、2010年、米雑誌フォーブス「世界で最も若い10人の億万長者」第1位に最年少(当時25歳)でランクイン、加えて Time誌「Person Of The Year」に選ばれた、マーク・ザッカーバーグの個性。
この映画について、ザッカーバーグは「唯一、着てる服は忠実。他は全部噓。」と語っているそう。あくまでも「事実を元にしたフィクション」として制作された映画のようですが、現代のアメリカンドリームを体現したザッカーバーグの「物語」として、少し視点をずらせば新しい「シリコンバレーの神話」誕生のス トーリーとしても、面白く観ることが出来ます。
私にとっては、この映画がFacebookとZuckerberg氏の真実を表しているかどうかは重要ではない。重要なのは、シ リコンバレーに関するこのような良質の映画がようやく作られたということだ。シリコンバレーは、1つの世代を超えて、世界を変え続けている。しかし、「ほとんど誰も理解できないようなものを作っているギークやナード[オタク]の映画なんて見たいやつがいるのか?」というのが、これまでのハリウッドの姿勢だった。ウォール街や メディアについての映画は制作されてきたが、主役がApacheサーバーやらLinuxやらコンピューター・コードに必死になるような映画はあり得ないは ずだった。 『ソーシャル・ネットワーク』は、Facebookの映画であるだけでなく、シリコンバレーについての最初の映画だ。
マーク・ザッカーバーグに学ぶ本
フェイスブック若き天才の野望 5億人をつなぐソ−シャルネットワ−クはこう生まれた
デビッド・カ−クパトリック、滑川海彦 / 日経BP社
2011/01出版
ISBN : 9784822248376
¥1,890 (税込)
「匿名的」 日本のネットカルチャー
ザッカーバーグを中心とする「人間たちのドラマ」に焦点をあてる反面、 Facebookそのものについては拍子抜けするほど描写がないとも言われる、映画「ソーシャルネットワーク」。それでもFacebookの核心部分で作中描かれたものがあるとすれば、それはおそらく、大学の名簿録にある写真や個人情報をオープンにしたところからスタートしたというFacebookの出自。すなわちそれは、「インターネット上での個人情報の公開」という、現時点の日本では、必ずしもあたりまえでない思想です。
もちろん、ミクシィやグリーをはじめ、日本で普及しているSNSでも実名と顔写真を公開することは可能で、現に一定割合のユーザーが実名で利用しています。しかし、それも現在までのところ圧倒的な多数派になるには至らず、日本のインターネットでは、匿名掲示板「2ちゃんねる」に象徴されるように、匿名的なコミュニケー ションが主流とも言われてきました。「日本では実名登録は流行らない」と言われてきたFacebook。それが本格的に普及の兆しを見せる今、日本に特有と言われる匿名的なインターネット文化についても、もう一考えてみるにはよい機会かもしれません。
あらためて、日本のネット文化を考える本
実名主義「Facebook」のインパクト
ミクシィ、グリーをはじめ、これまで普及してきたSNSは、実名でも匿名でも「ユーザーの好きなように」任せる放任主義が一般的。こうした中、 Facebookが唯一、日本でも「実名主義」を貫くことを言明してきました。でも、SNSでの実名登録が一般的でなかった日本では、誰もが内心、「Facebookもハンドルネームで大丈夫なんじゃあ...?」と思っていたのではないでしょうか。あらためてFacebookの「実名主義」が看板だけのものでないことがハッキリしたのはつい最近。Twitterを利用するFacebookユーザーの間で、Facebook アカウントが実名でなかっただけで「垢BAN(アカウント削除)」されてしまうという事件(祭り)が話題になりました。百戦錬磨?のネットユーザーたちも真っ青のこの事件でしたが、「Facebookは実名」という方針の揺るぎなきコトを知らしめるには十分な出来事だったと言えましょう。
ITmedia オルタナティブ・ブログ シロクマ日報 -「垢BAN祭り」はFacebookの価値を損ねない
では、Facebookが「実名主義」を貫くことで得たものはなんでしょうか。
マーク・ザッカーバーグは「実名主義」について、2008年、Facebook日本語版サイトの提供を開始した発表会の席上、このように語ったそうです。
ザッカーバーグ氏は,SNS上で実名を使うメリットとして,「人を見つけやすいし,人に見つけられやすい」ことを挙げる。さらに,「実名で登録していない人が発信する情報は信用されないだろう」と実名を使わない場合のデメリットを指摘し,「Facebookが急成長しているのは,実名で個人の情報を共有 したいというニーズの現れだ」と語るなど,実名ベースのサービスの展開に自信を見せる。
ユーザーのリアルでの活動がネットでの評判を高め、ネット上の評判がリアルに貢献するという循環。SNSで実名を使うことで、リアルとネットは相互 に与えるフィードバックが大きくなり、徐々に地続きのものになっていきます。Facebook が現実の世界に、ビジネスに、政治に影響を持つようになった理由の一つには、この「実名主義」があるでしょう。
Facebookのインパクトを体感する本
Blogistan : The Internet and Politics in Iran (International Library of Iranian Studies)
Sreberny, Annabelle/ Khiabany, Gholam / I B Tauris & Co Ltd
2010/11出版
ISBN : 9781845116071
¥3,316 (税込)
イランには70万人のブログユーザーがいる。またフェイスブックは2009年の大統領選では政府がアクセス不可にしたほどの影響力を持つ。イスラム圏独特の政治と社会がネットによって変わる様を分析した一冊。
ソーシャルメディアが変える価値観・つながり・ビジネス
Facebookのように、ユーザーが様々なレベルの話題を交わしつつ、その発言責任を主体として引き受けている文化を「(パブリックな)昼のネッ ト空間」に喩え、匿名的で、発言主体が特定出来ない分だけ自由、しかし刹那的なインターネット文化を「(プライベートな)夜のネット空間」と呼ぶ喩えを、 何度か目にしたことがあります。
プライベートで利用しているユーザーが多く、肩書きや所属から自由になれる日本のインターネットは、たとえそれが「バカと暇人のもの」と呼ばれても、その場の文脈や作法を共有するユーザーにとっては、独特な居心地のよさをもつ空間として存在してきました。
しかし、では日本のインターネットはいつまでも、Facebookに象徴されるリアルとネットが地続きになった空間はなじまないのでしょうか。 「実名主義」を掲げるFacebookが今後順調に普及していくのかどうか・・・は、まだ予断を許さないようにも思いますが、リアルとネット、さらにそこ から生まれる人と人との関係は、ここ数年で、少し変わってきているようです。
「個人がネット、リアルを往復しながらつながってゆく社会」。それを日本において準備したという意味で大きな役割を果たしたのは、2009年あたり から普及がすすんだ Twitterではないでしょうか。Twitterは個人に加えて有名人や企業による利用が進み、プロフェッショナルによる専門性の高い話から「その日の 晩ご飯」まで、さまざまなレベルの話題が繰り広げられています。実名登録のユーザーはそれほど多いわけではありませんが、Twitterの普及はネットと リアルの距離を縮め、人と人の"つながり"を変え、わたしたちの振る舞いに影響を与えるようになっています。
"Facebook"や"Twitter"といったソーシャルメディアの普及に呼応するかたちで、人の価値観や"つながり"、さらにはビジネスのかたちまでもが変わっていく。最近、こうした趣旨の本が複数刊行され、注目されています。今、身のまわりで、知らないうちに進行している変化。望むと望まざるとにかかわらず、「ソーシャル」の時代の入り口にいるわたしたち、ソーシャルメディアと付き合っていく頼れるガイドとして、一冊、手元に置いておくと心強いかもしれません。
ソーシャルメディアでなにが変わる? 明日の一歩を変える本
*おまけ
(編集部 角 モナ、須賀喬巳)














