| 【アフリカの現在を考える】 (No.274 2009. 7.14配信号) |
「アフリカの様子がおかしい。半世紀ほど前に植民地支配から独立し、豊かな資源を手に、希望に満ちた前途に踏み出したはずだった。しかし今、多くの国で人々は貧困にあえぎ、国民同士の殺し合いまで起きている。」(『アフリカ・レポート』(岩波新書)より) 豊かな野生の生き物たち、人類発祥の地、ブッシュマンやピグミー、奴隷貿易や植民地支配の悲惨な歴史、音楽・ダンス・スポーツ等における圧倒的な存在感…。 現代日本に生きる私たちにとってアフリカの存在は、たとえばインドや南米に比べて、日常的なイメージとしてはとても身近なもののように思われます。けれど、今現に海の向こうで繰り広げられているアフリカの現実について、私たちはいったいどれほどのことを知っているのでしょうか? 今回のe-Alert Plus!では、アフリカに関する最新のルポルタージュや入門書・研究書を集めてご案内いたします。 ◇◆INDEX◆◇ 1.停滞するアフリカの現在 2.歴史・文化 3.ポストコロニアル・国家・紛争 4.貧困・開発・環境 |
1.停滞するアフリカの現在 |
【1】 | アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書) | |
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松本仁一【著】 2008/08 (岩波書店) 標準価格:税込\735 ISBN:9784004311461 |
★豊かなジンバブエの農業を10年で壊滅させ、アパルトヘイトを克服した南ア共和国を犯罪の多発に悩む国にしたのは誰か。中国の進出、逆に国を脱出するアフリカ人の増加などの新しい動きを追い、同時に、腐敗した権力には頼らず自立の道を求めて健闘する人々の姿も伝える。30年にわたるアフリカ取材経験に基づく、人間をみつめた報告。 |
【2】 | アフリカ 苦悩する大陸 | |
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ゲスト,ロバート【著】〈Guest,Robert〉 / 伊藤真【訳】 2008/05 (東洋経済新報社) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784492211779 |
★なぜアフリカは「繁栄」から取り残されるのか。腐敗した政府、民族対立、貧困、HIV…、停滞するアフリカの現実と問題の核心を『エコノミスト』誌の辣腕記者が綴った渾身のルポ。 |
【3】 | 2010年南アフリカW杯が危ない! (角川SSC新書) | |
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木崎伸也【著】 2008/02 (角川SSコミュニケーションズ) 標準価格:税込\798 ISBN:9784827550269 |
★2010年のサッカーW杯は、史上初めてアフリカ大陸で行われる。開催地に選ばれたのは、南アフリカ。毎日約50件の殺人事件が起こる世界有数の犯罪都市ヨハネスブルグ。スタジアム建設の遅れ、インフラの不備、宿泊施設の不足…、数々の問題が指摘されているこの国で、世界最大のスポーツイベントは、本当に開催できるのだろうか。 |
【4】 | アフリカのいまを知ろう (岩波ジュニア新書) | |
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山田肖子【編著】 2008/03 (岩波書店) 標準価格:税込\819 ISBN:9784005005888 |
★国際社会では、〈支援する地〉であり〈資源を持つ地〉として大きく注目されつづけているアフリカ。この本では、政治・経済・交流史・農業・社会学・民族学など、さまざまな分野の研究者へのインタビューで、アフリカの魅力を知り、アフリカとどう関わっていくかについて考える。 |
2.歴史・文化 |
【1】 | アフリカのことば―アフリカ/言語ノート集成 | |
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西江雅之【著】 2009/06 (河出書房新社) 標準価格:税込\5,460 ISBN:9784309244754 |
★アフリカと言語をめぐる世界的な碩学にして、名エッセイストと知られる著者が、50年にわたるその研究をはじめて本に。人間と文化に関心をもつすべての人々に贈る記念碑的な偉業。 |
【2】 | アフリカのことばと社会―多言語状況を生きるということ | |
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梶茂樹 / 砂野幸稔【編著】 2009/04 (三元社) 標準価格:税込\6,615 ISBN:9784883032389 |
★圧倒的大多数の現地語といくつかのヨーロッパ諸語の織りなす重層的な多言語使用の実態。危機言語、母語主義といった西側世界による介入。それらがつくり出す複雑な言語状況を概観し、サハラ以南アフリカ14カ国の、ことばと社会をめぐる諸問題を具体的に論じる。アフリカ社会を理解するうえで、なぜ言語問題が重要なのかを明らかにし、アフリカ地域研究への新たな視点を提示する。 |
【3】 | サハラ以南アフリカ (講座 世界の先住民族―ファースト・ピープルズの現在〈05〉) | |
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綾部恒雄【監修】 / 福井勝義 / 竹沢尚一郎 / 宮脇幸生【編】 2008/03 (明石書店) 標準価格:税込\5,040 ISBN:9784750327549 |
★サハラ砂漠以南のアフリカ諸国約10ヵ国・20の少数民族の歴史・現状を紹介することで、「先住民」という言葉が西欧近代国家という概念によって生み出されたことを示し、人間とは何か、という根源まで問いかける。 |
【4】 | ブッシュマン、永遠(とわ)に。―変容を迫られるアフリカの狩猟採集民 | |
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田中二郎【著】 2008/11 ((京都)昭和堂) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784812208496 |
★アフリカ南部カラハリ砂漠に住む地球最後の狩猟採集民ブッシュマン。同名の映画で日本でも大ブームを巻き起こした彼らが現在、歴史の舞台から消え去ろうとしている。半生をブッシュマン研究に捧げた人類学者が綴る渾身のドキュメント。 |
【5】 | 人類発祥の地にいま生きる人々 (身体装飾の現在) アフリカ大地溝帯エチオピア南西部 | |
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井上耕一 2009/01 (朝倉書店) 標準価格:税込\12,600 ISBN:9784254106817 |
★エチオピア南西部に暮らす少数民族を訪ね、身体装飾に焦点を当てて撮影した写真集。自傷瘢痕で飾られた肌、多彩なボディペインティング、巨大な唇飾りや耳飾り、色鮮やかなビーズ細工…。人類の身体装飾の現在を見る。(オールカラー) |
【6】 | アフリカを食べる/アフリカで寝る (朝日文庫) | |
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松本仁一【著】 2008/11 (朝日新聞出版) 標準価格:税込\1,050 ISBN:9784022616036 |
★インパラの刺し身、いも虫のから揚げ、象の干し肉、羊の目玉…アフリカ現地の食を縦横無尽に食べ、難民テントや砂漠で寝泊りしながら、アフリカの普通のひとびとの生活を描く。「食べる」「寝る」行為を通してアフリカを身体から理解できる一冊。朝日新聞特派員としてアフリカに暮らした著者による紀行ルポ『アフリカを食べる』『アフリカで寝る』(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)の増補版合本。 |
【7】 | 世界中のアフリカへ行こう―「旅する文化」のガイドブック | |
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中村和恵【編】 2009/05 (岩波書店) 標準価格:税込\1,995 ISBN:9784000236829 |
★かつてアフリカの人びとは奴隷航路という負のルートに乗って、アメリカ大陸やカリブ海を中心に海を越えて散らばっていった。彼らがになう文化は、その先で根づき姿を変えて、今なお世界中を旅している─。アフリカをキーワードに世界の文化ネットワークを見晴るかす、新しい「文化のガイドブック」誕生。 |
【8】 | アフリカ (図説世界文化地理大百科) (普及版) | |
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日野舜也【監訳】 2008/11 (朝倉書店) 標準価格:税込\24,150 ISBN:9784254168778 |
★アフリカ大陸の自然地理や言語、民族、宗教、美術、音楽、舞踊などのさまざまな側面を、豊富な地図、図、写真などで紹介。後半では、北、西、西中央、北東、東、南東中央、南、インド洋に分けて各国を解説。地図99、図版333(カラー248)。1985年初版の普及版。 |
3.ポストコロニアル・国家・紛争 |
【1】 | 南部アフリカ社会の百年―植民地支配・冷戦・市場経済 | |
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小倉充夫【著】 2009/02 (東京大学出版会) 標準価格:税込\4,200 ISBN:9784130561044 |
★南部アフリカ社会は西欧による植民地支配、冷戦構造への組み込み、激しい紛争や貧困、近年ではグローバルな市場経済化の波にさらされてきた。ザンビア東部州における社会と人びとの暮らしの100年を振り返り、国際社会と地域の社会変動の姿を描き出す。 |
【2】 | 戦争と平和の間 (研究双書) 紛争勃発後のアフリカと国際社会 | |
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武内進一 2008/11 (アジア経済研究所) 標準価格:税込\5,355 ISBN:9784258045730 |
★アフリカの紛争解決はどう進められてきたのか。平和に向けた国際社会の関与はいかなる成果と課題を残したのか。アフリカの紛争と平和構築を考えるための必読書。 |
【3】 | 現代アフリカの紛争と国家―ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド | |
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武内進一【著】 2009/02 (明石書店) 標準価格:税込\6,825 ISBN:9784750329260 |
★アフリカの紛争の根本的な原因を、独立後に現れた特異な国家「ポストコロニアル家産制国家」の特質から捉える理論的枠組みを提示し、この枠組みと、植民地化以降の長期的な社会変容の分析とを組み合わせ、人類の悲劇ルワンダ・ジェノサイドに至る過程を解明する。 |
【4】 | アフリカと政治 紛争と貧困とジェンダー―わたしたちがアフリカを学ぶ理由 | |
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戸田真紀子【著】 2008/08 (御茶の水書房) 標準価格:税込\2,520 ISBN:9784275005892 |
★深刻な紛争や「民族対立」、宗教や慣習法による女性たちの困難はどうして生まれるのだろうか。アフリカの歴史や政治体制を知ることで、原因や解決方法を探り、日本の社会の人びとが、偏見無くアフリカのひとびとと交流をしていくことの大切さを学ぶ。 |
【5】 | アフリカの王を生み出す人々―ポスト植民地時代の「首長位の復活」と非集権制社会 | |
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松本尚之【著】 2008/02 (明石書店) 標準価格:税込\6,300 ISBN:9784750327303 |
★非集権制社会といわれるナイジェリアで、なぜ首長が人々に支持され、新たに創造され続けているのか。植民地・国家政策として生まれた首長位の歴史的変遷をたどり、イボ人社会が既存の非集権的システムに首長位を取り込む過程とその位置づけを明らかにする。 |
【6】 | 燃えるジンバブウェ―南部アフリカにおける「コロニアル」・「ポストコロニアル」経験 | |
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吉國恒雄【著】 2008/09 ((京都)晃洋書房) 標準価格:税込\1,470 ISBN:9784771019997 |
★ジンバブウェおよびアフリカの近現代史、とりわけ土地問題に関わる歴史に照らしながら、近年のジンバブウェ問題に検討を加える。コロニアル・ポストコロニアルな経験に翻弄されてきたジンバブウェの研究に取り組んできた著者の遺稿集。 |
4.貧困・開発・環境 |
【1】 | アフリカ農業と地球環境―持続的な農業・農村開発はいかに可能か | |
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齋藤晴美【監修】 2008/11 (家の光協会) 標準価格:税込\1,680 ISBN:9784259518165 |
★1985年から22年にわたって、西アフリカでの砂漠化防止対策調査と持続的な農村開発に取り組み(国連から砂漠化対処優良4事例の一つに選定)、地域の農民や農村住民の主体となった村落開発で成果を挙げてきた旧緑資源機構(現森林農地整備センター、海外部門はJIRCAS)の実績をベースに、本書では、これからの地球環境問題とあわせてアフリカの農業・農村開発について解説する。 |
【2】 | アフリカ「貧困と飢餓」克服のシナリオ | |
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二木光 2008/09 (農山漁村文化協会) 標準価格:税込\2,100 ISBN:9784540081774 |
★JICA国際協力専門員である著者が「都市の貧困からでなく農村の貧困から」「輸血でなく造血を」の信念のもと、自律的、持続的、段階的、適正・中間技術提案型開発援助のありようを具体的に追求、実践、提案。 |
【3】 | 現代アフリカの公共性 エチオピア社会にみるコミュニティ・開発・政治実践 | |
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西真如 2009/02 (昭和堂(京都)) 標準価格:税込\4,935 ISBN:9784812209066 |
★アフリカに何が欠けているのか?という欠如の論理から離れ、エチオピア社会で行われている、いまある問題解決への実践から、現代アフリカの公共性を問う。 |
【4】 | 抵抗と協働の野生動物保護 アフリカのワイルドライフ・マネ−ジメントの現場から | |
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西崎伸子 2009/02 (昭和堂(京都)) 標準価格:税込\4,410 ISBN:9784812209073 |
★「地球環境問題」としての視点からはこぼれおちる現場の声に基づき、エチオピアの野生動物保護における地域住民の、抵抗から協働への試みを読み解く。 |
【5】 | アフリカの人間開発―実践と文化人類学 (みんぱく実践人類学シリーズ〈2〉) | |
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松園万亀雄 / 縄田浩志 / 石田慎一郎【編著】 2008/03 (明石書店) 標準価格:税込\6,720 ISBN:9784750327433 |
★従来、膨大な人類学分野のリソースを、日本の開発援助機関の事業に充分に活用しているとはいえなかった。そのような状況を打破するため、本書は文化人類学者と開発援助実務者の人的交流のなかから「文化人類学の社会的利用」というテーマとその有効性を探る。 |
【6】 | “眠り病”は眠らない―日本発!アフリカを救う新薬 (岩波科学ライブラリー) | |
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山内一也 / 北潔【著】 2008/01 (岩波書店) 標準価格:税込\1,260 ISBN:9784000074803 |
★難病として知られる眠り病。蔓延するアフリカではエイズ以上の被害をもたらし、経済発展にも深刻な影響を与えている。効果的な治療薬の開発は難航したが、コッホや志賀潔をはじめ多くの研究者による地道な研究の積み重ねにより、ついに日本で有効な物質が見つかった。はたして純国産新薬は完成するのか。眠り病とその研究の歴史と現状を紹介する。 |
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