| 【サロメ神話と世紀末芸術】 (No.237 2008.12. 9配信号) |
ワイルドの「サロメ」に決定的な影響を与えたフローベールのヘロディアス=サロメ像を出発点として、19世紀後半のサロメ神話の形成過程について比較研究を行い、世紀末だけでなくサロメ神話形成の歴史全体を一挙に論じた渾身の文芸批評『サロメのダンスの起源』が、慶應義塾大学出版会より今秋刊行されています。 今回のe-Alert Plus! では、サロメを軸にして、19世紀末ヨーロッパの文学および美術に関する和書18点をご案内いたします。 |
1.サロメ、ファム・ファタル |
【1】 | サロメのダンスの起源―フローベール・モロー・マラルメ・ワイルド | |
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大鐘敦子【著】 2008/09 (慶應義塾大学出版会) 標準価格:税込\5,775 ISBN:9784766415032 |
★文学・美術界で脈々と生み出される「Femme Fatale(宿命の女像)」に、フローベールのサロメがどのような影響を与えたのか、19世紀後半のサロメ神話の形成過程について文芸間の比較研究を行い(マラルメ、ワイルド)、その一大潮流を明らかにする。 |
【2】 | La gen`ese de la danse de Salom´e L’“Appareil scientifique”et la symbolique polyvalente dans H´erodias de Flaubert | |
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大鐘敦子【著】 2006/03 (慶應義塾大学出版会) 標準価格:税込\12,600 ISBN:9784766412314 |
★2006年に出版されフランスで評価された【1】の姉妹版。(フランス語) |
【3】 | サロメ誕生―フローベール/ワイルド | |
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工藤庸子【著】 2001/05 (新書館) 標準価格:税込\2,940 ISBN:9784403270024 |
★ナポレオンに率いられた巨大な〈古代文明観光団〉たるエジプト遠征軍は、生きている聖書の挿絵を見いだして興奮した。そのなかから浮かび上がってきた人間イエスは、同時に妖艶な踊子をも引き連れていたのである―サロメだ!フローベールの『ヘロディア』、ワイルドの『サロメ』、さらに、モローの、ビアズリーの、クリムトのサロメ。19世紀末は、冷酷な情熱がそのまま形象化された宿命の女、サロメのイメージに覆われている。 |
【4】 | ファム・ファタル―妖婦伝 | |
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イミョンオク【著】 / 樋口容子【訳】 2008/01 (作品社) 標準価格:税込\2,940 ISBN:9784861821684 |
★美貌と官能で男を誘い、近寄る男を地獄に落とす、美しくも残酷な稀代の妖婦たち。その魅惑、神秘、淫蕩、残酷の諸相を名画とともに辿る。収録図版140点、オールカラー。 |
【5】 | 悪女入門―ファム・ファタル恋愛論 (講談社現代新書) | |
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鹿島茂【著】 2003/06 (講談社) 標準価格:税込\756 ISBN:9784061496675 |
★男を破滅させずにはおかない運命の女femme fatale―魔性の魅力の秘密は何か。宿命の恋の条件とは。フランス文学から読み解く恋愛の本質、小説の悦楽。 |
2.19世紀末ヨーロッパ芸術 |
【1】 | 世紀末芸術論―リルケ/ジンメル/ホフマンスタール | |
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ホフマンスタール【ほか著】 / 高木昌史【編訳】 2008/11 (青土社) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784791764488 |
★ラファエル前派、後期印象派、象徴主義、分離派など、百花繚乱のごとき世紀末芸術はいかに生まれ、その精神はいかに継承されたのか。ホフマンスタールら同時代の第一級の知性と美学者が、ヨーロッパ全域を席巻した世紀末芸術をつぶさに鑑賞しつつ、その美意識の核心に迫る画期的論考集成。 |
【2】 | 世紀末芸術 (ちくま学芸文庫) | |
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高階秀爾【著】 2008/07 (筑摩書房) 標準価格:税込\1,155 ISBN:9784480091581 |
★伝統芸術から現代芸術へ。19世紀末の芸術運動には既に抽象芸術や幻想世界の探求が萌芽していた。新時代への美の冒険を捉える。 |
【3】 | 世紀末の夢―象徴派芸術 (新装版) | |
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ジュリアン,フィリップ【著】〈Jullian,Philippe〉 / 杉本秀太郎【訳】 2004/04 (白水社) 標準価格:税込\5,040 ISBN:9784560038994 |
★ラファエル前派→モロー→象徴派という芸術の流れを正しく捉えた絵画史。19世紀末、画家・詩人たち600人が織りなす夢を自在に見透かしその輪郭をあざやかな手ぎわで描き出す。 |
【4】 | 世紀末の都市と身体―芸術と空間あるいはユートピアの彼方へ | |
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長谷川章【著】 2000/05 (ブリュッケ;星雲社〔発売〕) 標準価格:税込\5,250 ISBN:9784795216808 |
★20世紀の都市と建築の歴史を身体文化からとらえ直す。歴史叙述の新しい試み。 |
【5】 | 19世紀フランス文学事典 | |
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古屋健三 / 小潟昭夫【編】 2000/04 (慶応義塾大学出版会) 標準価格:税込\8,400 ISBN:9784766407877 |
★芳醇にして多産な19世紀フランス文学の総合的な案内書。文学を成立させたその時代背景を問題にして文学を解説するとともに、スタール夫人を筆頭に作家33名の人と作品を紹介している。写真・図版600余点を収録。 |
3.ギュスターヴ・モロー |
【1】 | ギュスターヴ・モロー―「自作を語る画文集」夢を集める人 | |
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モロー,ギュスターヴ【画・文】〈Moreau,Gustave〉 / 藤田尊潮【訳編】 2007/02 (八坂書房) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784896948868 |
★モローが語るモロー。彼が書き残した自作解説や芸術観などを綴った文章と、そこで言及された作品を中心に集成した瀟洒な画文集。 |
【2】 | ギュスターヴ・モロー―絵の具で描かれたデカダン文学 (六耀社アートビュウシリーズ) | |
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鹿島茂【著】 2001/05 (六耀社) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784897373881 |
★画家マチス、マルケ、ルオーを育てたモローは、絵画の世界のみならず、プルースト、ブルトンなどの文学者にも圧倒的な支持を得ていた。本書では、デッサン、水彩画から油彩まで、未完成作品を含むモローの幻想芸術を紹介しながら、モローの生涯とその作品の全貌を解明していく。 |
4.ステファヌ・マラルメ |
【1】 | 生成するマラルメ | |
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柏倉康夫【著】 2005/11 (青土社) 標準価格:税込\5,040 ISBN:9784791762156 |
★1861年12月、地方紙で匿名デビューをとげた19歳の詩人が、いかにしてフランスを、西洋近代を代表する芸術家となったか。膨大な資料を収集し、書簡のすべて、テクストの細かい修正過程までを精緻に分析して詩人の生成する瞬間をとらえた批評=ドキュメント。 |
【2】 | マラルメ―書物と山高帽 | |
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立仙順朗【著】 2005/01 (水声社) 標準価格:税込\4,200 ISBN:9784891765439 |
★《いたるところにあってどこにもない》詩を求めて、マラルメ後期散文の謎めいた森の中へとわけいり、マス・メディアの支配する大衆社会の中の詩と詩人の運命を、言葉と沈黙の意味を問う。 |
【3】 | マラルメの想像的宇宙 | |
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リシャール,ジャン=ピエール【著】〈Richard,Jean‐Pierre〉 / 田中成和【訳】 2004/12 (水声社) 標準価格:税込\9,450 ISBN:9784891765323 |
★マラルメのテクストのなかに「隠された同一性」を浮彫りにするテーマ批評=ヌーヴェル・クリティックの最も力強い試み。 |
【4】 | マラルメ伝―絶対と日々 | |
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ステンメッツ,ジャン=リュック【著】〈Steinmetz,Jean‐Luc〉 / 柏倉康夫 / 永倉千夏子 / 宮嵜克裕【訳】 2004/10 (筑摩書房) 標準価格:税込\13,650 ISBN:9784480885173 |
★詩の絶対を追い究める主体と、日々の生とのはざまにマラルメの文学的営為を位置づけ、〈書く行為〉を文学の極北の劇として鮮やかに描く画期的な評伝。 |
【5】 | マラルメの詩学 | |
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ボヌフォワ,イヴ【著】〈Bonnefoy,Yves〉 / 菅野昭正 / 阿部良雄【訳】 2003/09 (筑摩書房) 標準価格:税込\6,510 ISBN:9784480836410 |
★存在と言語の極北に煌くマラルメの詩/詩学―詩学教授にして現代詩の新しい地平を拓いた詩人が、卓抜な視点からその謎と魅惑の解明を試みる白眉のマラルメ論。 |
5.オスカー・ワイルド |
【1】 | オスカー・ワイルドの曖昧性―デカダンスとキリスト教的要素 | |
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鈴木ふさ子【著】 2005/03 (開文社出版) 標準価格:税込\3,570 ISBN:9784875719809 |
★唯美主義者、あるいは同性愛者として<負>のイメージを醸すワイルドのデカダンスと、その作品に散見されるキリスト教的な要素に着目し、その正体を掴みにくくさせる原因であると同時にその魅力を語るうえでも欠かせないワイルドの<曖昧性>を探る試み。 |
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