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【言語と音楽―進化、脳と芸術の起源】

(No.162 2007.11.16配信号)



近代言語学150年の歴史において封印されていた問い、「言語の起源」の問題が、近年の進化諸科学の発展に伴って、急速に議論の俎上に上るようになってきました。
言語と並ぶ人間の偉大な能力である音楽についても、認知科学からのアプローチが進んでいます。認知考古学者ミズンの著書『歌うネアンデルタール』が注目されたように、人類の進化における言語と音楽の関係は、あらためて脚光を浴びつつあります。

外ならぬダーウィンが、既に『人間の進化と性淘汰』で、音楽によって言語の発達の基盤の一つが与えられたという信念を表明していました。言語と音楽の認知科学は果たして何を明らかにするでしょうか。

興味深いことに、言語も音楽も、文化によって、文法、音階に差異が見られます。言語において、チョムスキーが「普遍文法(UG)」を構想したように、音楽においても「普遍音楽文法(UMG)」のようなことが考え得るのか―

そうしたチャレンジを誘う<言語と音楽>の探究から、いかなる人間の本性が明らかにされるのか。その問いに答えようとしている書籍を特集いたします。


Books
1.和書

【1】歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化
4152087390の画像ミズン,スティーヴン【著】〈Mithen,Steven〉 / 熊谷淳子【訳】
2006/06 (早川書房)

標準価格:税込\2,310    ISBN:9784152087393
歌うネアンデルタール人:音楽・言語・心・身体の起源
The Singing Neanderthals : The Origins of Music, Language, Mind and Body
0674025598の画像Mithen, Steven
2007/10 (Harvard Univ Pr)

カード決済価格:税込\1,868 / 標準価格:税込\3,115    ISBN:9780674025592
★音楽は進化の過程でことばの副産物として誕生したというのが、これまでの主要な意見であった。しかし、ミズンは、初期人類はむしろ音楽様の会話をしていたはずだとし、彼らのコミュニケーションを全体的、多様式的、操作的、音楽的、ミメシス的な「Hmmmmm」と名づけた。
認知考古学の第一人者として、人類の心の進化を追究しつづけるスティーヴン・ミズンが、太古の地球に響きわたる歌声を再現する。

【2】小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリ−)
4000065920の画像岡ノ谷一夫
2003/06 (岩波書店)

標準価格:税込\1,155    ISBN:9784000065924
★ジュウシマツの歌は意外に複雑、なんと「文法」があることが発見された。この「文法」は、オスがメスの気を惹くためにより華麗に歌おうとして発達したのでは?
人間言語の起源もひょっとしたら…大胆仮説で言語進化の謎に挑む。

【3】音楽する脳
4047915009の画像ベンゾン,ウィリアム【著】〈Benzon,William L.〉 / 西田美緒子【訳】
2005/12 (角川書店)

標準価格:税込\2,310    ISBN:9784047915008
★音とリズムの組み合わせから成るノイズが、なぜ人の心を動かすのか。自らも音楽家である認知科学者が素朴な疑問に端を発し、ブードゥー教の音楽からベートーベンやガーシュウィン、ボブ・ディランに至るまで、様々な実例を歴史と科学、両方の見地から分析。音楽成立の壮大な謎に迫る。

【4】絶対音感 (新潮文庫)
4101482233の画像最相葉月【著】
2006/05 (新潮社)

標準価格:税込\620    ISBN:9784101482231
★小鳥のさえずりも救急車のサイレンも「ドレミ」で聴こえる人がいる。音楽家を目指す人なら誰でもが欲しがるという「絶対音感」。その正体に迫るべく、五嶋みどり、五嶋龍、千住真理子、園田高弘、大友直人、佐渡裕、矢野顕子、大西順子…など一流音楽家・科学者ら300人以上に証言を求め、この能力をめぐる驚くべき事実を明らかにしていく。
音楽業界はもとより、多方面から大反響を呼んだベストセラー作品の文庫化。

【5】音と聴こえ―言語療法と音楽療法のための
4276122651の画像須藤貢明 / 杵鞭広美【著】
2005/06 (音楽之友社)

標準価格:税込\3,045    ISBN:9784276122659
★音の認知に視点を据えて、「音と聴こえ」を人間科学として記述。建築音響学や聴覚心理学、音響音声学の最新の研究成果を盛り込んだ。楽器の音響特性と作曲、音声の物理的特性と言語獲得の関係についても記述。音楽や言語に携わるすべての人々のために、音響と聴覚の特性を科学的に解明した画期的な書。

【6】音と文明 音の環境学ことはじめ
4000223674の画像大橋力
2003/10 (岩波書店)

標準価格:税込\4,620    ISBN:9784000223676
★現世人類発祥の地たる熱帯雨林からはかけ離れた、現代都市の音環境。最先端科学が教えるところと、驚くべき音響工学的データを駆使し、現在の音環境からの脱出が、ヒトの文明を左右する重大課題であると提起する、画期的労作。

【7】世界の調律―サウンドスケープとはなにか (平凡社ライブラリー)
4582765750の画像シェーファー,R.マリー【著】〈Schafer,R.Murray〉 / 鳥越けい子 / 小川博司 / 庄野泰子 / 田中直子 / 若尾裕【訳】
2006/05 (平凡社)

標準価格:税込\1,995    ISBN:9784582765755
★耳で捕らえた風景=「サウンドスケープ」という言葉を広め、その後の様々な実践の基となった作曲家シェーファーの代表著。

【8】音楽と言語 (講談社学術文庫)
4061591088の画像トラシュブロス・ゲオルギオス・ゲオルギア / 木村敏
1994/01 (講談社)

標準価格:税込\1,050    ISBN:9784061591080
★音楽の内面史―ミサ音楽の歩みを、音楽と言語とのたえざる対決の歴史として、音楽の言語化、言語の音楽化という弁証法的過程の歴史と捉える。若き精神医学者としてミュンヘン大学に留学した訳者が、著者の講義に感銘を受け、敬愛をこめて訳出した西洋音楽史の歴史的名著。

【9】書きたがる脳―言語と創造性の科学
4270001178の画像フラハティ,アリス・W.【著】〈Flaherty,Alice W.〉 / 吉田利子【訳】
2006/02 (ランダムハウス講談社)

標準価格:税込\1,995    ISBN:9784270001172
★多産な作家たちは、書き出したら止まらない「ハイパーグラフィア」という病の持ち主だった!?
自らが医者であり患者でもある著者が、文章を書くという行為の障害を通じて、創造性を生み出す脳のしくみに迫る。

【10】共感覚―もっとも奇妙な知覚世界
4788509989の画像ハリソン,ジョン【著】〈Harrison,John〉 / 松尾香弥子【訳】
2006/05 (新曜社)

標準価格:税込\3,675    ISBN:9784788509986
★音を聴けば色が見え、味に形を感じる― 一つの刺激から複数の感覚が生じる「共感覚」は、ロマン派以来の多くの芸術家が体験したといわれる。この不思議な感覚世界を長年探究し続けてきた心理学者が、その成果を明らかにする。

Books
2.洋書

【1】音楽、言語と脳
Music, Language and the Brain
0195123751の画像Patel, Aniruddh D.
2007/11 (Oxford Univ Pr)

カード決済価格:税込\7,365 / 標準価格:税込\11,016    ISBN:9780195123753
★認知神経科学が明らかにする、言語と音楽の関係。言語と音楽は認知・神経系において別々に処理されているという一般的信仰に挑戦する。言語と音楽の比較研究から見えてくるのは、むしろ両者の能力の深く共通する部分であることであるという。

【2】ジャッケンドフ著/音楽の生成理論
A Generative Theory of Tonal Music
026262107Xの画像Lerdahl, Fred / Jackendoff, Ray S.
1996/05 (Mit Pr)

カード決済価格:税込\4,668 / 標準価格:税込\6,983    ISBN:9780262621076
★チョムスキーの高弟で、その普遍文法の発想を継ぐジャッケンドフは、クラリネットの名手でもあって、言語と音楽の関係にも深い関心を寄せてきた。認知科学の見地から音楽の普遍文法を構想する本書は、度々引かれる基本文献であるが、これを超える理論化の試みはまだ現れていない。

【3】リズム、音楽と脳:科学的基盤と臨床的応用
Rhythm, Music, and the Brain : Scientific Foundations and Clinical Applications
041596475Xの画像Thaut, Michael
2008/01 (Routledge)

カード決済価格:税込\5,564 / 標準価格:税込\8,335    ISBN:9780415964753
★音楽の神経科学によって明らかにされる、言語系と音楽系の機能の違い。

【4】脳のなかの魂:言語、芸術、信仰の脳内基盤
The Soul in the Brain : The Cerebral Basis of Language, Art, and Belief
0801884810の画像Trimble, Michael R.
2007/04 (Johns Hopkins Univ Pr)

カード決済価格:税込\4,704 / 標準価格:税込\6,431    ISBN:9780801884818
★神経心理学の見地から、脳の機能と言語及び芸術―とりわけ詩と音楽―の関係の秘密に迫る。

【5】言語、視覚像、音楽:第8回自然言語処理の認知科学国際ワークショップから
Language, Vision, and Music: Selected Papers from the 8th International Workshop on the Cognitive Science of Natural Language Processing, Galway, 1999. (Advances in Consciousness Research.) 35
902725155Xの画像Mckevitt, Paul / O'nuallain, Sean (eds.)
2002/10 (J. Benjamins)

カード決済価格:税込\17,343 / 標準価格:税込\21,700    ISBN:9789027251558
★言語、視覚、音楽に共通する認知的特性とは?錚々たる寄稿者によるこの国際的論文集によると、意識の基本的性質の一つはマルチモーダルであること。

【6】話すサル:言語の進化の過程
The Talking Ape : How Language Evolved
0199214034の画像Burling, Robbins
2007/04 (Oxford Univ Pr)

カード決済価格:税込\2,527 / 標準価格:税込\3,787    ISBN:9780199214037
★言語の進化についてのもっとも信頼できる、そして読みやすく書かれた本。
音楽が言語の進化に与えた影響についても触れられている。

【7】進化音韻論
Evolutionary Phonology : The Emergence of Sound Patterns
0521804280の画像Blevins, Juliette
2004/09 (Cambridge Univ Pr)

カード決済価格:税込\12,285 / 標準価格:税込\18,375    ISBN:9780521804288
★系統的に隔たった言語同士の音声的な相似が見られるのはなぜか?
本書は、7-8000年前まで遡って、人類言語における音声パターンと音声変化に注目する。

【8】カーナテック音楽の文法
The Grammar of Carnatic Music, w. CD-ROM (Phonology and Phonetics Vol.8) 2008. XV, 300 p. Edition
3110183137の画像Vijayakrishnan, K. G.
2008/01 (GRUYTER; MOUTON DE GRUYTER)

カード決済価格:税込\20,477 / 標準価格:税込\25,622    ISBN:9783110183139
★インド音楽の中で独自の位置を占めるカーテナック音楽は、どのように生き残ってきたのか?
本書は、言語学の立場から、18世紀初頭から現在に至る発展の条件を明らかにする。

【9】オリバー・サックス著/ムジコフィリア:音楽と脳の寓話
Musicophilia : Tales of Music and the Brain
1400040817の画像Sacks, Oliver W.
2007/10 (Alfred a Knopf Inc)

カード決済価格:税込\2,539 / 標準価格:税込\4,778    ISBN:9781400040810
★豊富な臨床経験から紡ぎだされた文学的手法でヒトの心の深層に迫るフィクション・ノンフィクションを多数執筆してきた精神医学者オリバー・サックスが、今度は脳と音楽の不思議を追いかける。

【10】M・ターナー編/アートフル・マインド:認知科学と人間の創造性の謎
The Artful Mind : Cognitive Science and the Riddle of Human Creativity
0195306368の画像Turner, Mark (EDT)
2006/09 (Oxford Univ Pr)

カード決済価格:税込\4,908 / 標準価格:税込\7,341    ISBN:9780195306361
★科学、宗教、数学、言語、発達した道具の使用、舞踊、美術―これらは過去5千年間の人類の「アートフル」な心が生み出したものに外ならない。
本書は、この「アートフル・マインド」の本質を解明するべく、ゲッティー財団の長年の援助により、プリンストン大学行動科学高等研究所で進められてきた研究プロジェクトの成果である。ディーコン、レイコフら錚々たる研究者たちによる寄稿によって、(もっとも広義な意味における)アートと心、脳との関係の最新の見取り図を描く。

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