| 【映画を学問する、映画で学問する】 (No.150 2007. 9.28配信号) |
アメリカで最も定評ある映画学の教科書“Film Art: An Introduction”(Bordwell
& Thompson著、2003)が名古屋大学出版会より邦訳出版されました。20世紀文化の花形として発展してきた映画は、昨今日本においても大学で学び研究することのできる学問分野として確立されつつあるようです。 ここでは、古今東西の映画を作品として鑑賞するのではなく、映画というシステムそのものを文化的、哲学的あるいは歴史的にとりあげ追究したアカデミックな本たちをご案内いたします。 |
1.映画を学問する。 |
【1】 | フィルム・アート―映画芸術入門 | |
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ボードウェル,デヴィッド〈Bordwell,David〉 / トンプソン,クリスティン【著】〈Thompson,Kristin〉 / 藤木秀朗【監訳】 / 飯岡詩朗 / 板倉史明 / 北野圭介 / 北村洋 / 笹川慶子【訳】 2007/09 ((名古屋)名古屋大学出版会) 標準価格:税込\5,040 ISBN:9784815805678 |
★この1冊で、きっと映画の見かたが変わる! 初期から近年までの世界中の映画を視野におさめ、映画の技法・スタイルを中心に、製作・興行、形式・ジャンル、批評・歴史にわたる映画芸術のすべてを多数の図版とともに体系的に解説した、アメリカで最も定評ある映画入門。待望の邦訳! |
【2】 | フィルムスタディーズ入門―映画を学ぶ楽しみ | |
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バックランド,ウォーレン【著】〈Buckland,Warren〉 / 前田茂 / 要真理子【訳】 2007/04 ((京都)晃洋書房) 標準価格:税込\3,045 ISBN:9784771018587 |
★映画制作上の専門的な技術用語や、映画研究の袋小路で待ち構える難解な理論と述語、あるいは映画史にまつわる瑣末な知識を交えることなく、映画作品が分かるとはどういうことかを丁寧に解説。 |
【3】 | アンチ・スペクタクル―沸騰する映像文化の考古学 | |
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長谷正人 / 中村秀之【編訳】 2003/06 (東京大学出版会) 標準価格:税込\5,250 ISBN:9784130802031 |
★「モダニティとテクノロジーの経験」としての映像文化とは何か? 発展著しい英米圏の映画学の中核をなす記念碑的論文を初めて翻訳・集成。気鋭の社会学者/映画研究者による充実した解題を付す。メディア、文化、社会の研究に必須となる基本論集。 |
【4】 | 現代映画講義 | |
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大寺眞輔【編著】 2005/12 (青土社) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784791762439 |
★気鋭の監督、批評家による連続講座。 “ヌーヴェル・ヴァーグ”を経て“クラシック”から脱した映画は、その多様性のなかにどのような課題を共有しているのか。 現代映画の代表的作品を精緻に分析し、いま映画を見、論じ、撮るための指針を提示する、理想の現代映画入門。 |
【5】 | 映画への不実なる誘い―国籍・演出・歴史 | |
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蓮実重彦【著】 2004/08 (NTT出版) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784757140813 |
★20世紀を代表する映画というメディアについて、国籍・演出・歴史の3つの指標を通じて、その位置を明らかにする、蓮實重彦、待望の最新映画講義録。 |
2.映画で哲学する。 |
【1】 | シネマ〈2〉時間イメージ (叢書・ウニベルシタス) | |
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ドゥルーズ,ジル【著】〈Deleuze,Gilles〉 / 宇野邦一 / 石原陽一郎 / 江澤健一郎 / 大原理志 / 岡村民夫【訳】 2006/11 (法政大学出版局) 標準価格:税込\4,935 ISBN:9784588008566 |
★哲学者による単なる映画論・映画史としてではなく、「映画に現れるかぎりでのイメージと記号の分類の試み」であり、ドゥルーズの多様な思考が注入され再編成された結晶を示す。 |
【2】 | ドゥルーズ・映画・フーコー | |
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丹生谷貴志【著】 2007/06 (青土社) 標準価格:税込\2,520 ISBN:9784791763382 |
★自ら命を絶った〈生の哲学者〉ドゥルーズ。病への治療を拒否して逝った〈生=権力の考古学者〉フーコー。現代を代表する二人の哲学者の全思想を「世界は映画である」というテーゼの上で出会わせ、死と崩壊へ向かう生の過程を凝視する新しい哲学を提示する。〈崩壊以後〉の映画としてのイーストウッド論を増補。 |
【3】 | 映画記号論入門 (松柏社叢書―言語科学の冒険〈12〉) | |
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スタム,ロバート〈Stam,Robert〉 / バーゴイン,ロバート〈Burgoyne,Robert〉 / フリッタマン=ルイス,サンディ【著】〈Flitterman‐Lewis,Sandy〉 / 丸山修 / エグリントンみか / 深谷公宣 / 森野聡子【訳】 2006/03 (松柏社) 標準価格:税込\4,200 ISBN:9784775401101 |
★500以上もの用語を定義しながら、言語学、物語論、精神分析、インターテクスチュアリティといった映画記号論にまつわる基本的セクションを詳述。パース、デリダ、バルト、ジュネット、グレマス、クリステヴァ、ラカンなど、記号論・映画記号論の重要人物の理論への入門書。 |
【4】 | 破局と渦の考察 | |
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宇野邦一【著】 2004/12 (岩波書店) 標準価格:税込\3,045 ISBN:9784000244268 |
★例えばジャン=リュック・ゴダールや青山真治の映画、例えば内藤礼の建築、中西夏之や三井田盛一郎などの美術、土方巽の舞踏、例えばホルヘ・ルイス・ボルヘス、フランツ・カフカなどの文学、そして吉本隆明、市村弘正、ミシェル・フーコー、ジル・ドゥルーズ、モーリス・ブランショなどの現代思想――。無秩序に散乱しているようにも見えるこれらの対象は、その狭間に、その隔たりに、著者が感じ取り見逃すことのない何かを浮かび上がらせてくる。 |
3.映画を/で歴史学する。 |
【1】 | ゴダール伝 | |
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マッケイブ,コリン【著】〈MacCabe,Colin〉 / 堀潤之【訳】 2007/06 (みすず書房) 標準価格:税込\5,880 ISBN:9784622072591 |
★ヌーヴェル・ヴァーグの寵児として映画史に生まれ落ち、半生紀をへた今日なお特異な映画作家でありつづける、ジャン=リュック・ゴダール。生きた伝説であるシネアストの生い立ちから現在までをたどる、初めての伝記。 |
【2】 | 香港・日本映画交流史 アジア映画ネットワ−クのル−ツを探る | |
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邱淑〓 2007/09 (東京大学出版会) 標準価格:税込\7,140 ISBN:9784130860369 |
★近年めざましい発展を見せるアジア映画のルーツは、香港・日本の映画交流にあった。日中の映画人ネットワーク形成史を掘り起こす。≪予約受付中≫ |
【3】 | 映画学的想像力―シネマ・スタディーズの冒険 | |
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加藤幹郎【編】 2006/05 ((京都)人文書院) 標準価格:税込\2,730 ISBN:9784409100219 |
★都市と映画館、アニメーション映画と初期映画、教育と映画、多言語映画とナショナル・シネマ等々、多次元的媒介作用のもとに見えてくる新しい映画史のスタイル。 |
【4】 | レッドパージ・ハリウッド―赤狩り体制に挑んだブラックリスト映画人列伝 | |
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上島春彦【著】 2006/07 (作品社) 標準価格:税込\3,990 ISBN:9784861820717 |
★1950年代、赤狩りの嵐吹き荒れるアメリカで、左翼脚本家・監督・俳優たちは、いかに戦い、どのような作品を残したのか。隠された歴史を丹念に洗い出し、克明に記録する、レッドパージ研究の完全決定版。 |
【5】 | 日本映画はアメリカでどう観られてきたか (平凡社新書) | |
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北野圭介【著】 2005/08 (平凡社) 標準価格:税込\756 ISBN:9784582852851 |
★1952年にアメリカで公開された『羅生門』は衝撃をもって迎えられたが、その評価の内実は意外と知られていない。黒沢明から溝口健二、小津安二郎、大島渚、伊丹十三、宮崎駿まで、戦後の日本映画がアメリカで「いかに受容されたか」を豊富な資料を基に分析する。映画を通して浮かびあがる、異色の「戦後日米文化交流史」。 |
【6】 | ポーランド映画史 | |
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ハルトフ,マレク【著】〈Haltof,Marek〉 / 西野常夫 / 渡辺克義【訳】 2006/06 (凱風社) 標準価格:税込\6,300 ISBN:9784773630084 |
★アンジェイ・ワイダやクシシュトフ・キェシロフスキは翻弄されつづけてきたポーランドの歴史と寄り添いながら、一体何を描こうとしたのか。映画表現の芸術性に視点を置いて、ポーランド劇映画の魅力と百年の歴史を詳述した本邦初の映画史。 |
【7】 | パレスチナ・ナウ―戦争・映画・人間 | |
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四方田犬彦【著】 2006/11 (作品社) 標準価格:税込\2,520 ISBN:9784861821059 |
★映像と体験で捉えたパレスチナの真実! パレスチナ、イスラエル、レバノンでの長期滞在者としての実見を基に、戦禍を生きる人々の真実の想いと生活を懇切に描く。 |
【8】 | 映画のなかの上海―表象としての都市・女性・プロパガンダ | |
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劉文兵【著】 2004/12 (慶応義塾大学出版会) 標準価格:税込\2,940 ISBN:9784766411171 |
★実際の都市としての性格より、「モダン都市」、「魔都」の強烈なイメージがつきまとう〈上海〉。この〈イメージ〉はどのようにして形成されたものなのだろうか。 中国で生まれ育った著者が、日本で学んだ〈表象文化論〉の発想をもちいて独創的な考察を展開。 |
【9】 | 日本/映像/米国―共感の共同体と帝国的国民主主義 | |
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酒井直樹【著】 2007/07 (青土社) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784791763504 |
★帝国の記憶を隠蔽し「共感の共同体」を捏造する日米の映画からNHK番組改ざん問題までを精緻に分析。「米国の傀儡としての天皇」など、戦後から現在に至る“帝国”とナショナリズムの結託を明るみに出し、歴史的責任をめぐる新しい倫理を構想する。 |
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