| あ な た は
成 瀬 巳 喜 男 を 知 っ て い ま す か ? |
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黒澤明、溝口健二、小津安二郎と並んで、日本映画黄金時代を支えた「第四の巨匠」と言われる映画監督、成瀬巳喜男(1905−169)が今年、生誕100年を迎え、その傑作群が続々とDVD覆刻されています。
生涯に89本の映画を撮り、製作後半世紀を経た今でも日本映画ベスト1に推す人の多い傑作「浮雲」をはじめ、現存する作品の大半が佳作以上と言える成瀬ですが、なぜか影が薄いです。東京下町出身の職人気質らしく、極めて控えめで、自己主張ということをほとんどせず、淡々と日常に光を当て、女性中心の心に沁みる映画を撮り続けたその仕事は、没後しばらく経ってから、やっと真価を見直されたと言っていいでしょう。
近年、海外で高く評価され、昨年死去したアメリカの評論家スーザン・ソンタグも絶賛し、ニューヨークでの上映会で紹介のスピーチに立ったそう。国内でも名画座好きな方なら、各種企画上映での満席続出の超人気ぶりはご存知のはず。今だからこそ見直したい名匠、成瀬巳喜男の仕事をぜひDVDでお楽しみください。
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東宝からは「成瀬巳喜男
THE MASTERWORK」と題して、ファン投票で選ばれたという選りすぐりの10作品(戦後)がお目見え。 |
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| ■「第一集」(5枚組)収録作品(7月22日発売予定、セットほか各タイトル分売もあり。予約受付中!) |
| 「めし」(1951) |
| 戦前も名監督として知られた成瀬が戦後はじめて林芙美子原作(遺作)を得て、全盛期に入るきっかけとなった作品。大阪下町の倦怠期の夫婦のふとした感情のもつれを演じる上原謙と原節子(東宝専属第1回作品)のナチュラルな名演。とてもセットと思えない、中古智の精巧な美術!安定感溢れる名作。「キネ旬」2位。 |
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| 「浮雲」(1955) |
| 日本映画史に残る傑作。昭和30年、まだ、辛うじて戦後である。戦中、南洋で結ばれた男女の道行きを通して、人間の生の極限に迫る、林芙美子晩年の代表作を映画化。主演女優、高峰秀子の代表作でもある。ふてくされた顔、けだるさ漂うセリフ回しに存在感がある。木下恵介の名作「二十四の瞳」の翌年、まさに乗りに乗っている。日本映画随一の二枚目、森雅之がだらしないが色気のある中年男を演じて見事である。ちなみに助監督は、今年死去した名監督、岡本喜八。「キネ旬」1位。本作を笠智衆とともに観た小津安二郎が「これで今年のベストワンは決まりだね」と言った話は、あまりに有名。 |
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| 「娘・妻・母」(1960) |
| 原節子と高峰秀子が久しぶりに共演。宝田明、森雅之、三益愛子など出る、東宝オールスター映画。 |
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| 「乱れる」(1964) |
| あの若大将、加山雄三と、高峰秀子が共演。東京オリンピックの年に公開されたこの映画、静岡県の清水市を舞台に、スーパーマーケットの進出で苦しい個人商店を切り盛りしている戦争未亡人と義弟の許されざる恋愛を緊張感たっぷりに演出。ラストはショッキングである。高峰秀子は伊ロカルノ国際映画祭で主演女優賞を受賞。 |
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| 「女の中にいる他人」(1951) |
| 成瀬映画脇役登板多数の名優、小林桂樹がサスペンスで主役を演じる。岡本喜八監督、山口瞳原作の傑作「江分利満氏の優雅な生活」(1963)と同じく、新珠三千代と夫婦役だが、この新珠三千代はコワいデス。 |
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| ■「第二集」(5枚組)収録作品(8月26日発売予定、セットほか各タイトル分売もあり。予約受付中!) |
| 川端康成原作「山の音」(1954) |
| 理想の老け役、山村聡と少しやつれた原節子が公園を二人歩くラストシーンは何度見てもイイ! |
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| 「放浪記」(1962) |
| 林芙美子代表作にして、三度目の映画化、大女優、高峰秀子、入魂の名演技が炸裂する。 |
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| 「女が階段を上る時」(1960) |
| 同じく、高峰秀子が一番美しい。 |
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| 幸田文原作「流れる」 |
| 成瀬巳喜男最高傑作にして、日本映画女優史を見るような、山田五十鈴、田中絹代、高峰秀子、杉村春子、栗島すみ子共演。 |
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| 「乱れ雲」(1967) |
| 主演・司葉子が女優開眼したという武満徹音楽の遺作。 |
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| ■大映からは、以下の作品もDVD化されています(発売:角川映画)。 |
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「稲妻」(1952) |
林芙美子原作。
東京下町を舞台に、ドロドロの人間模様をサラリと描ききって、深い共感を呼ぶ、成瀬映画の代表的名作。高峰秀子演じる末娘の脱出する、世田谷のユートピア的イメージが今となっては貴重。高峰秀子とは、戦前の「秀子の車掌さん」(1941)を経て、初の本格的コンビ作。「キネ旬」2位(1位は黒澤明の「生きる」)。
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「あにいもうと」(1953) |
室生犀星原作。
京マチ子、久我美子、森雅之共演。端正な森雅之が荒っぽい兄貴を演じる。ミスマッチかと思うと、さにあらずの名演。山本礼三郎の親父は迫力十分。「稲妻」に続いて、浦辺粂子ののんびりとした母親役にホッとする。 |
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comment!
■新東宝作品では、田中絹代主演「銀座化粧」(1951)がソフト化されています。同じく新東宝の田中絹代主演「おかあさん」(1951)は最高傑作の呼び声もありますが、ソフト化されないのかしら?
また、成瀬巳喜男監督作品ではないですが、成瀬組スタッフが手がけた作品として、本多猪四郎監督 「ゴジラ」(1954)、松山善三監督「名もなく貧しく美しく」(1961)も見逃せません。いずれもDVDあり。
関連の書籍としては、成瀬映画に多数主演、名エッセイストでもある高峰秀子が成瀬監督について書いた「イジワルジイサン」が読める自伝『わたしの渡世日記』(下)は必読。また、高峰秀子はじめ小林桂樹、山村聡、杉村春子など、成瀬映画でおなじみの名優のインタビュー集『成瀬巳喜男演出術』もまだ本屋で買えます。
各種データについては『映画読本成瀬巳喜男』、スザンヌ・シェアマン『成瀬巳喜男日常のきらめき』なども参考になります。 |
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