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キノマガ バックナンバー 第15号 t o p
 
>>>キノの本棚 [5 theme books] 
シュルレアリスムと小説
世界の見方が変わる?本
小粒だけど効きます 海外女性作家短編集
「伝統」を考える
梅雨空を笑い飛ばそう!100%笑えるスタンダード3冊
 
>>>キノの映写室 [3 theme DVD]拡大版
あなたは成瀬巳喜男を知っていますか?
 
 
 
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シ ュ ル レ ア リ ス ム と 小 説
類推の山 類推の山
ルネ・ドーマル【著】、巌谷国士【訳】
河出書房新社
(1996-07-04出版)
ISBN:4309461565[絶版]

税込714円
百頭女 百頭女
マックス・エルンスト【著】、巌谷国士【訳】
河出書房新社
(1996-03-04出版)
ISBN:4309461476

税込1,008円


恐怖の館 恐怖の館
レオノーラ・キャリントン【著】、野中雅代【訳】
工作舎
(1997-09-10出版)
ISBN:4875022867

税込2,730円
comment!
■シュルレアリスムといえばまずはダリなどの絵画を想起される方が多いと思いますが、当初の出発点は文学。 小説も結構出ていて実験的で荒唐無稽なものも多いのですが、特にこの分野に詳しくない方にも気軽に接していただきたい作品をご紹介。

○1冊目は海洋冒険小説風?の体裁をとりつつもシュルレアリスムという思想のエッセンスをキチンと折りこみつつ(分かる人には分かる!)、 そして「そんな思想には興味ナイよ」という読み手をもグイグイ引きこんでしまう傑作で、断然お勧め。

○2冊目は画家であるエルンストが既存の書物・印刷物の図版を様々に切り取って1ページに一葉ずつ配し、直下に自由な文章を添えて次々に場面を展開させてゆく、類稀なる奇書。 絵のイメージと言葉との奇妙なぶつかり合いが、無限の想像力を喚起して楽しませてくれます。

○最後はシュルレアリスム系女流画家による、神秘と幻想の寓話集。これも美しいイメージに満ち満ちています。
【洋書部・妹】

世 界 の 見 方 が 変 わ る ? 本
古代文明の謎はどこまで解けたか1 古代文明の謎はどこまで解けたか1
ピーター・ジェイムズ;ニック・ソープ【著】、皆神龍太郎【監修】、福岡洋一【訳】
太田出版(2002-07-05出版)
ISBN:4872336682
税込2,100円
呪術師と私 ドン・ファンの教え 呪術師と私 ドン・ファンの教え
カスタネダ・カルロス【著】、真崎義博【訳】
二見書房
(1986-09出版)
ISBN:4576000292

税込2,310円

no picture 黄金の夜明け魔法体系1
秋端勉
国書刊行会
(1993-01出版)
ISBN:4336033730

税込4,725円
comment!
■我々が普通に受け入れている世界も、人によってはまったく違った見え方をしているものです。 そこで今回は合理的な世界観を揺るがす?本をご紹介!


○1冊目は古代の伝説を再評価しようとした本。
伝説をそのまま受け入れるのでも全否定するのでもなく、あくまで合理的に解釈しようとする姿勢が面白い。
○2冊目は文化人類学者がシャーマンに弟子入りした際の記録。筆者はいわゆる超常現象も体験するのですが、ありえないほど突飛なものではなく、幻覚、催眠術などで説明できるギリギリのラインにあるのが逆に彼の経験に説得力を持たせています。
○3冊目はオカルト理論を集大成した魔道書。
こちらは完全にオカルト寄りの本。
その重厚な内容には圧倒されます。
【北海道業務センター・真】

小 粒 だ け ど 効 き ます   海 外 女 性 作 家 短 編 集
停電の夜に 停電の夜に
ジュンパ・ラヒリ【著】、小川高義【訳】
新潮社
(2003-03-01出版)
ISBN:4102142118

税込620円
鳥 デュ・モーリア傑作集 鳥 デュ・モーリア傑作集
ダフネ・デュ・モーリア【著】、務台夏子【訳】
東京創元社
(2000-11-17出版)
ISBN:4488206026

税込1,029円

オコナー短編集 オコナー短編集
フラネリ・オコナ−【著】、須山静夫【編纂】
新潮社
(1993-09出版)
ISBN:4102053018

税込460円
comment!
■読みごたえなら長編にだって負けてません。どっしり重い3冊です。

○1冊目は、主に男女間に生じる亀裂(の予兆)をスリリングに読ませます。 気づかないふりでやりすごしているそれらを、彼女はその白々しさとともにこれでもかと見せつけます。 「ラヒリはんはこわいお人や〜」と思う表題作をはじめ、どれも読後の余韻が印象的です。

○デュ・モーリアの長編『レベッカ』で「マキシム(ヒロインの夫)すてきー」と盛り上がっていた当時高校生だった私。 短編集はロマンス色控えめですが、そのストーリーテラーぶりと美しい文章にはやはり惚れます。

○オコナーの文章は繊細で感覚的です。天賦の才とはこれか、と。 しかし、あとがきによると、実際には何度も推敲を重ねてやっと一編を書き上げるのだそうです。 「なぜ書くのか」と訊かれ「上手に書けるから」と言い放つ彼女の自信は、書くことに対する真剣さと尽力に裏打ちされています。 あとがきだけでも(!)読んでください。
【大津店・友】

「 伝 統 」 を 考 え る
伝統の創造力 伝統の創造力
辻井喬【著】
岩波書店
(2001-12-20出版)
ISBN:4004307627

税込735円
日本文学史序説 『日本文学史序説<><>』
加藤周一【著】
筑摩書房
(1999-04出版)
ISBN:4480084878

税込1,470円

経済学批判要綱 『マルクス・コレクション3』所収「経済学批判要綱
カール・マルクス【著】、横張誠・木前利秋・今村仁司【訳】
筑摩書房
(2005-03-20出版)
ISBN:448040113X

税込2,940円
comment!
■「伝統」という言葉は難しい。
そこに懐古趣味をこめる場合もあれば、新たな時代を切り拓くための心意気をこめる場合もある。
いずれにせよ、今という時間そのものが過去からの連続をなしている以上、避けるわけにはいかぬ課題であろう。

○1冊目は至高の詩人による力強い論。 詩人の思索の深さを窺い知ることができる。

○2冊目は著者畢生の名著。 これを超える日本文学・思想史を私は知らない。

○最後に、若き日のマルクスの国民経済学との苦闘ぶりが読み取れる1冊を。 真に新しきものは常に伝統との格闘から生まれることを示す好著。
【新宿本店・宏】

梅 雨 空 を 笑い 飛 ば そ う ! 1 0 0 % 笑 え る ス タ ン ダ ー ド 3 冊
わからなくなってきました わからなくなってきました
宮沢章夫【著】
新潮社
(2000-01-01出版)
ISBN:4101463220

税込500円

村上朝日堂 夢のサーフシティー 村上朝日堂 夢のサーフシティー
村上春樹【著】、安西水丸【絵】
朝日新聞社
(1998-07-01出版)
ISBN:402257254X

税込1,785円

ヨーロッパぶらりぶらり ヨーロッパぶらりぶらり
山下清【著】
筑摩書房
(1994-09-21出版)
ISBN:4480029044
税込630円
comment!

■最近は「泣かせ本」がブームですが、それでなくても梅雨なのに、じめじめするのはヤ!とお思いの方に、「100%笑えるスタンダード」3冊。


○1冊目。 「長打が出れば一気に同点。
ことによると、逆転サヨナラも可能である。
その時、アナウンサーは興奮気味に言うのだ。
『わからなくなってきました』(中略)『わからなくなる』という意識を言葉にするとき、人はたいてい声に力がなくなり、消え入りそうに発するものだが、アナウンサーはそうではない。
『わからなくなってきました!』とやけに声を張り上げるのが、いよいよ、わからないのである」
→(神10−巨0でも、井川が四球ひとつだしただけで、読売系列のアナウンサーなら「わからなくなってきました!」と叫びそう?)




○2冊目。「私は小さい頃、赤い靴はいてた女の子は『ちじさん=知事さん』に連れられていっちゃったんだと思っていました。 その歌を歌うたびに当時の東京都知事、美濃部さんみたいな人に連れていかれたんだとまじで思っていました」
→(美濃部さんの顔を即座に想起できる人は減ってきましたが、若きハルキファンなら「知事さん」という言葉に、後の村上小説のあの人気キャラを想起せずにはいられないはず。 ちなみにこの歌の「異人さん」には、「ひいじいさん」につーれらていーっちゃぁーたぁ(:_;)♪という説も)

○3冊目。「人魚は生きている人魚ではないので、うすぐらいところにあるのではっきりしないが、おっぽの方は大きな魚のひもので腰から上はさるのひものみたいだった。 こんな人魚がいきていても、とてもおとぎ話にでてくる人魚のようにきれいだったとは考えられないので、ぼくは生きている人魚をみたことがないので、人魚の話は迷信です」
→(わからなくなってきました)
【広報・鈴】

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あ な た は 成 瀬 巳 喜 男 を 知 っ て い ま す か ?
黒澤明、溝口健二、小津安二郎と並んで、日本映画黄金時代を支えた「第四の巨匠」と言われる映画監督、成瀬巳喜男(1905−169)が今年、生誕100年を迎え、その傑作群が続々とDVD覆刻されています。

生涯に89本の映画を撮り、製作後半世紀を経た今でも日本映画ベスト1に推す人の多い傑作「浮雲」をはじめ、現存する作品の大半が佳作以上と言える成瀬ですが、なぜか影が薄いです。東京下町出身の職人気質らしく、極めて控えめで、自己主張ということをほとんどせず、淡々と日常に光を当て、女性中心の心に沁みる映画を撮り続けたその仕事は、没後しばらく経ってから、やっと真価を見直されたと言っていいでしょう。

近年、海外で高く評価され、昨年死去したアメリカの評論家スーザン・ソンタグも絶賛し、ニューヨークでの上映会で紹介のスピーチに立ったそう。国内でも名画座好きな方なら、各種企画上映での満席続出の超人気ぶりはご存知のはず。今だからこそ見直したい名匠、成瀬巳喜男の仕事をぜひDVDでお楽しみください。

   
東宝からは「成瀬巳喜男 THE MASTERWORK」と題して、ファン投票で選ばれたという選りすぐりの10作品(戦後)がお目見え。

「第一集」(5枚組)収録作品(7月22日発売予定、セットほか各タイトル分売もあり。予約受付中!)
「めし」(1951)
戦前も名監督として知られた成瀬が戦後はじめて林芙美子原作(遺作)を得て、全盛期に入るきっかけとなった作品。大阪下町の倦怠期の夫婦のふとした感情のもつれを演じる上原謙と原節子(東宝専属第1回作品)のナチュラルな名演。とてもセットと思えない、中古智の精巧な美術!安定感溢れる名作。「キネ旬」2位。
 
「浮雲」(1955)
日本映画史に残る傑作。昭和30年、まだ、辛うじて戦後である。戦中、南洋で結ばれた男女の道行きを通して、人間の生の極限に迫る、林芙美子晩年の代表作を映画化。主演女優、高峰秀子の代表作でもある。ふてくされた顔、けだるさ漂うセリフ回しに存在感がある。木下恵介の名作「二十四の瞳」の翌年、まさに乗りに乗っている。日本映画随一の二枚目、森雅之がだらしないが色気のある中年男を演じて見事である。ちなみに助監督は、今年死去した名監督、岡本喜八。「キネ旬」1位。本作を笠智衆とともに観た小津安二郎が「これで今年のベストワンは決まりだね」と言った話は、あまりに有名。
 
「娘・妻・母」(1960)
原節子と高峰秀子が久しぶりに共演。宝田明、森雅之、三益愛子など出る、東宝オールスター映画。
 
「乱れる」(1964)
あの若大将、加山雄三と、高峰秀子が共演。東京オリンピックの年に公開されたこの映画、静岡県の清水市を舞台に、スーパーマーケットの進出で苦しい個人商店を切り盛りしている戦争未亡人と義弟の許されざる恋愛を緊張感たっぷりに演出。ラストはショッキングである。高峰秀子は伊ロカルノ国際映画祭で主演女優賞を受賞。
 
「女の中にいる他人」(1951)
成瀬映画脇役登板多数の名優、小林桂樹がサスペンスで主役を演じる。岡本喜八監督、山口瞳原作の傑作「江分利満氏の優雅な生活」(1963)と同じく、新珠三千代と夫婦役だが、この新珠三千代はコワいデス。

「第二集」(5枚組)収録作品(8月26日発売予定、セットほか各タイトル分売もあり。予約受付中!)
川端康成原作「山の音」(1954)
理想の老け役、山村聡と少しやつれた原節子が公園を二人歩くラストシーンは何度見てもイイ!
 
「放浪記」(1962)
林芙美子代表作にして、三度目の映画化、大女優、高峰秀子、入魂の名演技が炸裂する。
 
「女が階段を上る時」(1960)
同じく、高峰秀子が一番美しい。
 
幸田文原作「流れる」
成瀬巳喜男最高傑作にして、日本映画女優史を見るような、山田五十鈴、田中絹代、高峰秀子、杉村春子、栗島すみ子共演。
 
「乱れ雲」(1967)
主演・司葉子が女優開眼したという武満徹音楽の遺作。

■大映からは、以下の作品もDVD化されています(発売:角川映画)。
稲妻 稲妻」(1952)
林芙美子原作。

東京下町を舞台に、ドロドロの人間模様をサラリと描ききって、深い共感を呼ぶ、成瀬映画の代表的名作。高峰秀子演じる末娘の脱出する、世田谷のユートピア的イメージが今となっては貴重。高峰秀子とは、戦前の「秀子の車掌さん」(1941)を経て、初の本格的コンビ作。「キネ旬」2位(1位は黒澤明の「生きる」)。

あにいもうと あにいもうと」(1953)
室生犀星原作。

京マチ子、久我美子、森雅之共演。端正な森雅之が荒っぽい兄貴を演じる。ミスマッチかと思うと、さにあらずの名演。山本礼三郎の親父は迫力十分。「稲妻」に続いて、浦辺粂子ののんびりとした母親役にホッとする。
comment!
■新東宝作品では、田中絹代主演「銀座化粧」(1951)がソフト化されています。同じく新東宝の田中絹代主演「おかあさん」(1951)は最高傑作の呼び声もありますが、ソフト化されないのかしら?

また、成瀬巳喜男監督作品ではないですが、成瀬組スタッフが手がけた作品として、本多猪四郎監督 「ゴジラ」(1954)、松山善三監督「名もなく貧しく美しく」(1961)も見逃せません。いずれもDVDあり。

関連の書籍としては、成瀬映画に多数主演、名エッセイストでもある高峰秀子が成瀬監督について書いた「イジワルジイサン」が読める自伝『わたしの渡世日記』(下)は必読。また、高峰秀子はじめ小林桂樹、山村聡、杉村春子など、成瀬映画でおなじみの名優のインタビュー集『成瀬巳喜男演出術』もまだ本屋で買えます。

各種データについては『映画読本成瀬巳喜男』、スザンヌ・シェアマン『成瀬巳喜男日常のきらめき』なども参考になります。
【洋書部・野】

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